特定保険医療材料費の管理方法|算定漏れを防ぐ院内確認のポイント
2026.06.25医療経営
特定保険医療材料は、技術料等とは別に材料価格を算定できる医療材料です。
一方で、対象材料や算定要件を正しく把握できなければ、請求漏れが生じる可能性があります。
本記事では、特定保険医療材料費の管理方法と、算定漏れを防ぐ院内確認のポイントについて解説します。
特定保険医療材料費の管理が重要な理由
特掲診療料の各部で特定保険医療材料料を算定する場合は、材料価格を10円で除して得た点数を用います。
端数が生じた場合は四捨五入した点数を用いますが、特定保険医療材料以外の保険医療材料は、原則として技術料等に含まれます。
たとえば、材料価格が1,000円であれば100点、1,015円であれば端数を四捨五入して102点となります。
点数化の段階での誤りも算定差異につながるため、価格と点数の対応を院内マスタ上で正しく保つことが前提となります。
そのため、使用した材料の名称だけで判断せず、材料価格基準や留意事項との照合が必要です。
さらに、算定対象の材料を請求できなければ、購入費だけが病院側に残ります。
使用量が多い材料では、1件当たりの算定漏れが少額でも、病院収支への影響が大きくなる可能性があります。
適切に管理できれば算定漏れの防止に加え、診療科別の材料費と医業収益を把握しやすくなるため、病院経営の視点では医事情報と購買情報を結び付ける管理が求められます。
算定漏れが起こりやすい場面
算定漏れの原因は、主に対象材料の判定、使用実績の連携、改定情報の反映に分けられます。
以下にて、算定漏れが起こりやすい場面について解説します。
対象材料の確認が不十分
採用品が特定保険医療材料に該当するかを確認していない場合、算定対象を見落とす可能性があります。
また、同じ用途の製品でも、機能区分や使用目的により算定の可否が異なる場合があります。
商品コードと材料価格基準上の区分を対応させられるように管理します。
使用実績と請求内容が一致していない
診療現場で材料を使用しても、その情報が医事部門へ正確に届かなければ請求へ反映できません。
払出数をそのまま使用数と扱うと返品や未使用分により差が生じる可能性があるため、患者別の使用記録と請求データを照合するなどの仕組みが必要です。
たとえば、緊急手術や時間外の対応では使用記録が後追いになりやすく、実際に使用した材料が請求に反映されないことがあります。
また、1回の手術で複数個使用した材料を1個分しか算定していないケースもあり、金額だけでなく数量レベルでの突合が有効です。
改定後の価格・留意事項を反映できていない
診療報酬改定では、材料価格だけでなく、算定条件や摘要欄の記載事項が変わる場合があります。
更新前の院内マスタを使い続けると旧価格での請求や算定要件の見落としにつながってしまうため、改定日までに変更点を整理し、関係部門で確認する必要があります。
院内で確認すべき項目

院内確認では、対象材料、価格改定、留意事項、請求データを一連の情報として扱います。
ここでは、院内で確認すべき項目を整理します。
対象となる特定保険医療材料
まず、院内で採用している材料のうち、材料価格基準に定められた機能区分に該当する製品を特定します。
次に、商品名、規格、機能区分、材料コード、算定単位を整理し、院内の商品コードと対応づけます。
薬事承認または認証された使用目的以外に用いた場合は、算定できない点に注意が必要です。
材料価格基準の変更点
改定前後の材料価格を比較し、院内での使用量が多い材料から影響額を確認します。
また、新設・統合・細分化された機能区分がないかを調べます。
価格差だけでなく、区分変更による対象製品の移動も確認します。
算定に関する留意事項
材料ごとに使用目的や算定回数、使用個数、併算定の可否を確認するほか、摘要欄への記載や医学的理由の明示が必要な材料もあります。
価格表だけで判断せず、厚生労働省の留意事項まで確認する必要があります。
請求データとの整合性
患者別の使用実績とレセプト上の材料請求を照合し、未請求や過剰請求を確認します。
また、購買データや在庫データも組み合わせると、差異の発生箇所を追跡しやすくなります。
改定時に行う確認フロー
改定対応は、資料の収集、部門間の共有、院内システムへの反映という順序で進めます。
以下にて、改定時に行う確認フローについて解説します。
厚労省・保険医協会などの資料を確認する
厚生労働省の告示や通知、疑義解釈を基準として、変更内容を確認しましょう。
令和8年度の材料価格算定に関する通知は、令和8年6月1日から適用されています。
保険医協会などの解説資料は、原文の確認を補助する情報として活用します。
医事・購買・現場部門で情報を共有する
医事部門は算定要件、購買部門は採用品と価格、現場部門は使用方法を確認します。
各部門が変更点を持ち寄ることで、制度情報と院内運用の差を把握できます。
共有時は、対象材料と対応期限を一覧化すると管理しやすくなります。
院内マスタや請求ルールへ反映する
確認した内容を、商品マスタ、医事会計マスタ、請求時の確認ルールへ反映します。
更新後は、テストデータを用いて価格や点数、算定条件が正しいかを確認します。
さらに、改定後の初回請求を点検し、設定漏れがあれば早期に修正します。
なお、改定では一部の材料に経過措置として旧価格が一定期間適用される場合があります。
新旧価格の適用期間を取り違えると請求差異につながるため、価格ごとの適用開始日をマスタ上で正しく管理することが重要です。
算定漏れを防ぐための管理ポイント

算定漏れを防ぐには、材料マスタの整備だけでなく、使用から請求までの流れを管理する必要があります。
特に、採用品の変更や新規材料の導入時は、算定対象と院内コードを同時に確認します。
また、使用実績と請求データを定期的に照合し、差異が出た材料は原因を分析します。
確認結果を部門別に蓄積すれば、同じ漏れの再発防止につながります。
加えて、月次点検の対象と担当者を定め、改善状況を記録する運用も有効です。
院内だけで大量のデータを確認することが難しい場合は、外部の分析支援を活用する方法もあります。
おわりに
本記事では、特定保険医療材料費の管理方法と、算定漏れを防ぐ院内確認のポイントについて解説しました。
算定漏れを防ぐには、使用実績と請求データを継続的に照合し、部門間で情報を共有する必要があります。
院内での材料費や請求状況の分析が難しい場合は、専門家への相談がおすすめです。
MRP医療コラム編集部
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