医療情報プラットフォーム連携の実務|システム接続と標準規格の要点
2026.07.22医療経営
医療情報プラットフォーム連携は、医療機関内外の情報を安全に共有し、診療、事務、経営分析の精度を高めるための基盤です。
電子カルテ、レセコン、部門システム、自治体、介護情報などが関係するため、単なるシステム接続ではなく、業務設計とデータ管理を含めた検討が必要です。
本記事では、医療情報プラットフォームの連携実務と標準規格の要点について解説します。
連携先のシステム
医療情報プラットフォーム連携では、院内の基幹システムだけでなく、部門システムや院外の医療情報基盤も対象になります。
そのため、どの情報を、どの業務で、誰が利用するのかを先に整理する必要があります。
電子カルテ・レセコン
電子カルテは診療情報提供書や退院時サマリー、検査結果など、医療機関間で共有する、診療情報の中心となるシステムです。
レセコンは会計や請求に関わる情報を扱うため、医事課の業務効率や請求漏れ防止にも関係します。
両システムを分けて考えず、診療情報と請求情報のつながりを確認することが必要です。
部門・物流システム
部門システムには検査や放射線、薬剤、手術、栄養などがあります。
また、物流システムや診療材料管理システムも、病院経営における重要な情報源です。
そのため、医療情報だけでなく、物品や原価に関する情報も連携対象として整理します。
院外の医療情報
院外では全国医療情報プラットフォームや電子カルテ情報共有サービス、PMH(Public Medical Hub:自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム)などとの連携が進んでいます。
また、介護情報基盤との連携も検討されており、医療と介護の切れ目ない情報共有が求められています。
参考ページ:厚生労働省ホームページ「「全国医療情報プラットフォーム」における
連携に必要な標準規格

医療情報プラットフォームを安定して連携させるには、標準規格への対応が欠かせません。
こちらでは、連携に必要な標準規格をご紹介します。
HL7 FHIR
HL7 FHIRは医療情報のデータ連携方法を定めた国際標準規格で、Web技術を前提とし、REST通信やJSON形式を活用しやすい点が特徴です。
電子カルテ情報共有サービスでもHL7 FHIRへの対応が重視されており、今後の医療情報連携では重要度が高まります。
SS-MIX2
SS-MIX2は厚生労働省が推進する標準化ストレージで、先述したHL7がデータ格納方式として採用されています。
既存の病院システムでは、検査結果や処方情報などでHL7 ver.2が使われている場合もあります。
既存資産を活かす場合はFHIRだけでなく、現在利用している規格との関係を確認することが重要です。
コードとマスタの統一
医療情報連携では、データ形式だけでなく、コードやマスタの統一も重要です。
同じ薬剤や検査項目でも、システムごとに名称やコードが異なる場合があり、その状態で分析すると件数や費用が正しく集計できない可能性があります。
そのため、医薬品、材料、検査、傷病名などのマスタを確認し、更新管理の担当範囲も明確にしておきましょう。
院内独自のコードだけで運用している場合は、厚生労働省標準規格として定められたマスタ・コードへの対応を確認しておくと連携がスムーズです。代表的なものとして、傷病名はICD-10対応標準病名マスタ、医薬品はHOTコードやYJコード、臨床検査はJLAC10(JLAC11)などがあります。
連携の進め方
医療情報プラットフォーム連携は、システム導入だけで完了するものではありません。
以下にて、連携の進め方について解説します。
目的と対象情報を整理する
目的が曖昧なまま接続範囲を広げると費用だけが増えやすくなるため、連携によって実現したい目的を整理しましょう。
診療情報の共有や医事請求漏れの防止、材料費の可視化、経営分析の高度化など、目的によって必要な情報は変わります。
そのため、経営層、事務部門、診療部門で優先順位を共有することが必要です。
現行システムを把握する
目的や対象情報を整理したあと、現在利用している電子カルテやレセコン、部門システム、物流システムのベンダーや連携方式を整理します。
現状を把握することで、改修が必要な範囲と、既存機能で対応できる範囲を分けられます。
連携方式と要件を決める
連携方式にはリアルタイム連携やバッチ連携、ファイル連携などがあります。
医療安全に関わる情報は即時性が求められる一方、経営分析用の情報は日次や月次でも足りる場合があります。
また、PMHや外部基盤と接続する場合は、仕様書、利用規約、認証方式、ログ管理も確認します。
接続テスト後に運用する
要件を決めた後は、接続テストと運用テストを行います。
データが送れるだけでなく、正しく表示され、想定した業務で使えるかを確認しましょう。
連携時の確認事項

医療情報プラットフォーム連携では、情報の安全性と正確性を確保する必要があります。
こちらでは、連携時の確認事項をご紹介します。
セキュリティと権限管理
医療情報は機微性が高いため、アクセス権限の設計が必要です。
職種や部署、業務内容などに応じて、閲覧、登録、修正、出力の範囲を分けます。
また、誰が、いつ、どの情報にアクセスしたかを記録できる状態にしておくことも重要です。
これらの設計にあたっては、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を確認しておくとよいでしょう。外部の事業者やクラウドを利用する場合は、ガイドラインを踏まえ、責任分界や委託先の管理も含めて整理しておくと安心です。
データ品質とマスタ管理
連携後のデータは分析や業務判断に利用されるため、重複や欠損、表記ゆれ、コード不一致があると、判断の精度が下がります。
定期的に確認し、用度、調達、医事課、経営企画部門で管理ルールを共有します。
費用と運用体制の確認
医療情報プラットフォーム連携には、初期構築費だけでなく、保守費や改修費も発生します。
導入前には、削減できる事務負担、分析できる情報、改善できるコスト領域を整理します。
外部の知見を活用することで、病院ごとの課題に合った連携計画を立てやすくなるでしょう。
また、費用面だけでなく、診療報酬上の評価も考慮に入れると検討しやすくなります。電子カルテ情報共有サービスを活用する体制は、医療DX推進体制整備加算の要件の一つとされており、連携対応が診療報酬の算定につながる場合があります。
おわりに
本記事では、医療情報プラットフォームの連携実務と標準規格の要点について解説しました。
医療情報連携では、電子カルテやレセコンだけでなく、部門システム、物流システム、自治体、介護情報との関係を整理する必要があります。
また、HL7 FHIRなどの標準規格に対応しながら、マスタ管理やデータ品質を維持することも求められます。
病院経営の改善につなげるには、連携した情報を診療材料費、請求漏れ、部門別コストなどの分析に活かす視点が必要です。
MRP医療コラム編集部
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