病院経営の効率化|工数削減・在庫管理・データ活用のポイント

2026.09.15医療経営

病院経営の効率化病院が安定した医療提供体制を維持するためには、医療の質と安全性を確保しながら、限られた人員・設備・資金を有効に活用する必要があります。

そのためには、収益性だけに着目するのではなく、医療従事者の業務負担や医療材料の管理状況なども含めて、院内業務を見直すことが重要です。

本記事では、病院経営の効率化について、棚卸工数の削減や在庫管理、請求業務、データ活用のポイントとあわせて解説します。

 

医療経営における付加価値とは

医療経営における付加価値とは

一般的な経営における付加価値とは、事業活動を通じて新たに生み出される価値を指します。

売上や利益だけでなく、業務の生産性、商品やサービスの品質、顧客への提供価値など、複数の観点から捉えられます。

医療経営では、収益性の向上だけを目的に業務を効率化するのではなく、医療の質と安全性を維持する視点が欠かせません。

限られた経営資源を適切に配分し、医療従事者が患者対応などの本来業務に集中できる環境を整えることも、病院の付加価値を高める取り組みといえます。

例えば、医療材料の棚卸や発注、請求にかかる作業を見直すことで、職員の負担軽減や材料費の適正化が期待できます。ただし、単純な在庫削減や人員削減によって医療提供に支障が生じないよう、品質や安全性、供給の安定性を含めて判断する必要があります。

 

病院経営の効率化に取り組むべき理由

医療材料 同種同効品

病院経営の効率化に取り組む主な目的は、医療の質と安全性を維持しながら、職員の業務負担や材料費、廃棄費用などを適正化することです。

こちらでは、病院経営の効率化に取り組むべき理由を、現場で生じやすい課題とあわせて解説します。

 

棚卸工数の削減

一般的に、棚卸作業はスタッフが目視や手作業によって、実在庫と在庫データの差異を確認します。

管理する品目数や対象部署が多い場合、棚卸に長時間を要し、本来の業務を圧迫することがあります。

棚卸に付随する作業が増えるほど、入力ミスや確認漏れが発生しやすくなり、残業や人件費の増加につながる可能性もあります。

棚卸工数を削減する仕組みを構築すれば、職員が患者対応などの本来業務に集中しやすくなり、業務効率や人員配置の適正化につながります。

システムを導入する場合は、現在の作業時間や人件費、廃棄額などを把握し、導入費用や運用費用に見合う効果が期待できるかを検証する必要があります。

 

在庫差異の把握・是正

棚卸を行うと、データ上の在庫と実在庫に差異が見つかることがあります。

帳簿上の在庫数と実在庫に差異が生じた場合は、入力漏れや未計上の使用、返品、部署間移動、破損、紛失などの原因を確認する必要があります。

実務上は、使用時の登録漏れ、部署間での融通、定数外の持ち出しが主な要因になりやすく、原因を分類して記録すると再発防止につなげやすくなります。

差異を放置すると、材料費や棚卸資産を正確に把握できず、発注量や経営判断にも影響を及ぼします。

差異が判明した場合の会計処理については、その原因や病院の会計方針に基づいて適切に処理することが重要です。

 

廃棄ロスの削減

医療安全を確保するため、製品表示や院内規程に基づき、使用期限や滅菌有効期限を適切に管理する必要があります。

期限を過ぎた材料は使用せず、規程に沿って廃棄や返品を行います。

廃棄ロスは材料費の増加要因となるため、購入額や在庫回転率、欠品・緊急発注の状況も確認します。

使用実績や期限、納期を踏まえて適正在庫を維持することが、廃棄ロスの削減につながります。

 

請求・支払業務の効率化

病院の経理・医事業務には、診療報酬のレセプト請求、患者負担金の請求・収納、仕入先への支払いなどがあります。

情報が部門ごとに分断されていると、確認作業や請求漏れ、支払い処理の遅延につながる可能性があります。

特に医療材料では、現場での使用情報が医事部門へ正確に伝わらないと、算定できるはずの材料が請求されないまま購入費だけが残ります。

請求・支払情報を集約すれば、未収金や支払予定、資金の流れを把握しやすくなります。

入力項目や承認フローを整理し、必要な情報を速やかに確認・共有できる体制を整えることが重要です。

システム化や外部委託では、アクセス権限、データ保存、バックアップ、委託先の管理体制も確認する必要があります。

 

データ活用

患者数や診療実績、病床稼働率、医療材料の使用実績などを分析することで、経営課題の把握や改善施策の検討、需要予測の参考にもできます。

患者情報を扱う場合は、利用目的を明確にし、アクセス権限や保存方法、委託先の管理など、個人情報保護と情報セキュリティに配慮する必要があります。

また、分析対象や指標の設定が不適切だと、医療安全や現場負担に悪影響を及ぼす可能性があります。

現場の知見とデータを組み合わせ、施策の効果を検証することで、自院に適した改善策を検討しやすくなります。

 

おわりに

本記事では、病院経営の効率化について、棚卸工数の削減や在庫管理、請求・支払業務、データ活用の観点から解説しました。

経営効率化は、単に費用や人員を削減する取り組みではありません。

医療の質と安全性を維持しながら、限られた経営資源を適切に配分し、医療従事者が本来業務に集中できる環境を整えることが重要です。

まずは、棚卸時間、在庫差異、廃棄額、欠品件数、請求漏れなどを可視化し、自院の課題を把握しましょう。

システムを導入する場合は、費用対効果だけでなく、運用体制や個人情報保護、情報セキュリティも含めて検討する必要があります。

資料のご請求はこちらから

タグ : SPD 物品管理
The following two tabs change content below.
MRP

MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。