病院の物流管理におけるSPDとは?業務内容と運用メリットを解説

2023.09.13医療経営

病院の物流管理におけるSPD

病院では患者さんへの負担を減らし、最適な診療を行うために日々さまざまな医療器具を使用しています。

医療器具のなかには消耗品や使い切りのものがあるため、医師や事務担当は在庫を切らさないように都度発注を行わなければなりません。

しかし、過度な発注は経費と在庫スペースを圧迫するため、需要と供給を見越した数量で発注する必要があります。

本記事では、病院の物流管理における「SPD」について解説します。

 

SPDとは?

SPD(Supply Processing and Distribution)とは、病院における物流効率を改善することが目的のものです。

元々SPDはアメリカの医療コンサルタントが提唱した概念で、日本に入ってきたのは平成初期だと言われています。

病院ではさまざまな医療材料や医薬品、医療器具を使用しており、出費の大半はそれら「材料費」に関する費用です。

そのため、病院の経営体質を改善する際には、人件費とあわせて優先的に改善対象となるコストであると言えます。

なかにはSPDの採用により、業務内容を大きく変えることなく黒字化に成功した病院も存在します。

このように、SPDは病院経営に関わる重要な要素だと言えます。

 

SPDにおける業務とは?

SPDにおける業務とは

こちらでは、SPDにおける実際の業務内容をご紹介します。

 

物品物流管理・購買管理

物品物流管理・購買管理は病院で使用する物品の購買歴や在庫状況、使用状況、使用期限などを管理する業務です。

一般的にはシステムを使用して管理することが多く、使用した物品や期限が近付いた物品を新たに購入することで適正な在庫量を維持します。

 

発注・納品

消費した物品を、メーカーやディーラーに対して発注し、指定数量納品してもらうことを指します。

業者が納品のため訪問した際、発注した数量と価格が合っているかを確認する作業も含まれています。

 

伝票管理

病院経営の収支・経費計上を明確にするため、伝票と記載された金額をまとめて集計する作業です。

 

価格交渉・情報収集

一般企業と同様に、病院においても価格交渉や情報収集は重要な業務に含まれています。

価格交渉の際は「〇個以上購入しているので〇円コストダウンしてほしい」といったように、最適な交渉術が求められます。

また、「○○社のほうが○○円ほど安い」といった情報を収集することで、より安価に物品を購入することができるでしょう。

 

SPDの目的と運用するメリット

SPDを運用することで、下記のようなメリットを得ることができます。

 

購入価格の抑制

先述の通り、病院における物品の購入は経営に大きな影響を及ぼす要素のひとつです。

経営改善の際には材料費が優先的な削減対象となり、黒字化のためにコストの適正化が求められます。

 

不良在庫の削減

病院のなかには、使用頻度が少ないにも関わらず大量に物品が在庫されていることがあります。

いわゆる不良在庫と呼ばれるもので、将来的に使用する目処が立たず、自院の損失につながる可能性が高い物品を指すものです。

そのような物品をなくし、必要なものを必要な量だけ在庫することで、在庫状況を改善することができます。

また、不良在庫のなかには使用頻度が低いものだけではなく、過剰に在庫されている物品も含まれています。

不良在庫問題を解消するためには、今あるものをある程度使い切ってから発注することはもちろんのこと、過去の使用状況をもとに適正な在庫量を算出することが重要であるといえます。

 

SPD(院内物流管理)の効率化はシステム導入かSPD外部委託

SPD(院内物流管理)の効率化

このように、SPDは病院内の在庫スペース確保や経営状況の改善に、大きく貢献する要素だと言えます。

しかし、病院によっては最小限のスタッフで運営していることがあるため、人的リソースを割けないことがあります。

そのような場合は、効率化を図ることができるシステムを導入するか、SPD業務の外部委託を検討してみることも良いでしょう。

システムを導入することで自院の状況を「見える化」することができるため、リアルタイムで物品を管理することができます。

また、SPD業務を外注することで自院は診療行為に専念することができるため、業務効率の改善が図れます。

ただし、外部業者へ委託する際は第三者によるモニタリング(監査)機能が非常に重要であるといえます。業務仕様書が適切な内容になっているか、きちんと仕様書通りに業務が履行されているか等、細かい部分のチェックを怠ると病院経営にも大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

 

エム・アール・ピーでできること

当社では病院の経営体質およびSPD業務の運用改善を目的として、マスタの提供・SPD導入支援・SPD導入後の運用監査を実施しています。

ご契約いただいたお客様に対して、まずは現状を調査して課題を洗い出すことから始めます。

適正な購入フロー・在庫管理により運用されているか、どの程度の運用ロスが発生しているか、医事請求が漏れなく実施されているかなどを確認し、改善点の精査を実施します。

その後、SPDを導入または切替するための仕様設計や導入支援などを行い、経過観察とともに新たな改善策を提案・実施します。

また、導入後の監査・モニタリング機能も備えているため、ワンストップでコンサルティングを実施することが可能です。

導入事例:物品管理改善・SPD導入支援・監査

 

おわりに

本記事では、病院の物流管理に関するSPDについて解説しました。

SPDとは病院における物流業務の効率化により経営改善に寄与することが目的であり、アメリカがルーツの概念です。

物品の購入や使用状況は病院の経営に大きな影響を及ぼす要因であるため、改善の余地がある病院は多いものです。

経営に課題を抱えている病院経営者は、SPDの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。