不動在庫の原因とリスク|医療材料・医薬品の適正化でコストを削減

2024.04.10医療経営

不動在庫の原因とリスク

医療機関に関わらず、商品や備品の在庫は収益を最適化するために最適な量で保管・使用する必要があります。

しかし、医療機関では発症する可能性が低い症状や病気に対しても対応しなければならないため、万が一に備えた在庫も必要です。

病院経営者の多くは適正在庫の管理方法を課題としており、現在でも適正在庫の検証・改善ができていない病院は多くあります。

本記事では、不動在庫の原因とリスクについて、コスト削減の観点とあわせてご紹介します。

 

不動在庫とは?

不動在庫とは、病院内の倉庫に眠っている、発注したにも関わらず長期間保管し使用されていない在庫を指すものです。

在庫については回転率が経営に関する重要な指標となっており、短いほどよく使われている在庫となります。

一方、不動在庫は仕入れから長期間使用されていない在庫のため、経営と在庫スペースを圧迫します。

 

不動在庫のほかにも「滞留在庫」がある!

不動在庫のほかにも滞留在庫

不動在庫と混同されることが多い言葉のなかには、「滞留在庫」と呼ばれるものがあります。

滞留在庫は使用期限や消費期限などが迫っており、期限を超えた際には使用できない在庫です。

そのため、在庫によっては不動在庫を経て滞留在庫になってしまうものがあり、多くのロスが発生します。

 

不動在庫が発生する原因

病院を含む医療機関で不動在庫が発生する原因は、下記になります。

  • ずさんな発注業務
  • 納品された医薬品や医療材料が使用されなかった
  • 在庫品の代替品が販売され、在庫品を使い切ることができなかった
  • 念のために発注した商品が使用されない
  • 発注数量を間違えるなど、人為的ミス
  • 処方予定の患者さんが来院しなくなった

 

このように、不動在庫が増加する要因は医療機関だけではなく、患者さんが要因のものもあります。

そのため、病院では可能な限り高精度な発注と在庫管理業務を行い、不動在庫を減らす努力を行わなければなりません。

 

不動在庫があることで起こるリスクやデメリット

こちらでは、不動在庫があることで起こるリスクやデメリットをご紹介します。

 

維持コストが発生する

不動在庫は在庫の一種であることから、特定のスペースを使用して保管されます。

本来であれば在庫は一定期間で回転しますが、不動在庫はその期間が長い特徴があります。

医療機関によってはテナント料が発生するため、在庫期間が長くなるほど維持コストが高くなるのです。

 

処分コストが発生する

薬は長期間在庫することで消費期限を迎えてしまい、最終的には処方せずに処分しなければなりません。

しかし、薬は一般ゴミのようにゴミ箱に捨てて終了というわけではなく、正しい方法で処分する必要があります。

不動在庫が多くなるほど処分コストが高くなり、経営を圧迫する要因となるため早期解決が求められます。

 

在庫回転率やキャッシュフローの悪化

病院の経営状況を判断する要素として、在庫回転率やキャッシュフローがあります。

在庫回転率が良い在庫は問題ありませんが、回転率が悪い在庫はキャッシュフローも滞るため、経営悪化の要因となってしまいます。

 

不動在庫を減らす物品管理の対策

医療材料の不動在庫を減らす

下記にて、医療材料の不動在庫を減らす物品管理の対策をご紹介します。

 

使用頻度を把握する

不動在庫を減らす対策を練るうえで重要なポイントとして、現状把握が挙げられます。

現在の総在庫数や、在庫ごとの回転率などを知ることで、課題となる在庫品を知ることができます。

 

定期的に棚卸しを実施し、現状把握する

通常、棚卸しは半年や1年に1回実施されますが、それまでに多くの不動在庫が積まれることは少なくありません。

そのため、3ヶ月や1ヶ月など、短いスパンで不動在庫の有無や期限等の確認を行い、現状を把握することが重要です。

 

発注数を見直す

現状を把握し、回転率や不動在庫の有無を把握したあとは、今後の対策を考える必要があります。

1回の発注数を見直すことで、これまで過度な発注をしていたのだという気付きがあることでしょう。

 

システムの導入を検討する

これまでは手作業による在庫のカウントや入力をご説明しましたが、どうしてもヒューマンエラーが発生してしまうものです。

短時間で効率良く在庫を管理するために、半自動で管理をすることができるシステムの導入についても検討しておきましょう。

 

当社のコンサルティングで適正価格による仕入れとコスト削減を実現しませんか?

当社では、医療機関の最適な経営をお手伝いするコンサルティングサービスを提供しています。

病院経営の際には物品の購入や管理、医事請求など、さまざまな観点から管理を行わなければなりません。

また、そのためには収支分析も重要であり、何にいくらの出費が発生しているのかを理解する必要があります。

収支に大きな影響を及ぼす物品の仕入れについては可能な限り抑えたいものの、適正価格がいくらなのか、適正な在庫量はどのくらいなのかを知ることは難しいものです。

当社のコンサルティングサービスを導入いただいた医療機関のなかには、数千万円単位のコストダウンを実現したお客様もいらっしゃいます。

収支のバランスを見直したいという方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

当社サービスページ:コンサルティングメニュー

(https://www.mrp-spd.co.jp/home/service/consulting.html)

 

おわりに

本記事では、病院における不動在庫についてご説明しました。

不動在庫は納品後長期にわたって処方・使用されていない在庫を指すもので、経営を圧迫する要因のひとつです。

維持コストや処分コストが発生する、在庫回転率やキャッシュフローが悪化するといった、さまざまなリスクがあります。

不動在庫を削減するためには、在庫数や回転率の見える化が重要です。

適正在庫を積み、患者さんに迷惑をかけることなく健全な病院経営を行いましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。