医療経営コンサルタントの起用メリットと依頼範囲について解説

2026.06.19医療経営

医療経営コンサルタント病院経営では、診療材料費や委託費、人件費などの増加により、収益と費用のバランスを精緻に把握する必要性が高まっています。

厚生労働省の第25回医療経済実態調査でも、一般病院における診療材料費・医療消耗器具備品費や委託費の構成比が示されており、費用管理の重要性が確認できます。

本記事では、医療経営コンサルタントを活用した病院経営の改善支援について解説します。

 

医療経営コンサルタントの役割と仕事内容

医療経営コンサルタントの役割と仕事内容

■撮影用にレンタルしたスペースにて撮影を行っています。

医療経営コンサルタントは、病院の経営課題を可視化し、改善に向けた判断材料を整理する専門家です。

ただし、病院経営を全面的に代行する存在ではなく、自院主体の改善活動を支援する立場で関わります。

 

病院経営での役割

医療経営コンサルタントの役割は病院の経営状況を数値で整理し、改善すべき課題を明確にすることです。

病院経営では、収益、診療材料費、人件費、委託費、設備関係費、病床稼働、医事請求など、複数の要素が関係します。

外部の支援を活用することで、経営層、事務部門、経営企画部門および診療部門が同じ判断材料を共有しやすくなります。

具体的には、現状分析による課題の抽出から、改善策の設計、実行支援、効果検証(モニタリング)までを一連の流れで支援します。関わり方には、分析や助言を中心とする助言型と、施策の実行段階まで継続的に伴走する実行支援型があり、自院の体制や目的に応じて選択します。また、診療部門・事務部門・経営層の間に立ち、共通の数値をもとに改善の方向性をそろえる、部門横断の合意形成を後押しする役割も担います。

 

医療経営コンサルタントの定義

医療経営コンサルタントとは、医療機関の経営や業務改善を支援する専門家を指します。

支援範囲は幅広く、経営分析、コスト分析、調達改善、医事業務改善、診療報酬改定対応などが含まれます。

一方で、すべての医療経営コンサルタントが病院経営全般に対応できるわけではないため、依頼時には自院の課題に合う支援領域を確認する必要があります。

 

医療経営士との違い

医療経営士は医療機関の経営に関する知識を体系的に学ぶ資格である一方、医療経営コンサルタントは資格名ではなく、病院の経営改善を支援する業務領域を指します。

医療経営士の知識は有用ですが、実際の支援ではデータ分析力や現場理解も必要です。

そのため、資格の有無だけでなく、病院支援の実績や分析の進め方を確認することが重要です。

 

経営分析の支援

経営分析では収益や費用、診療科別の状況、病床稼働、部門別の動きのほか、月次推移や前年同月比を整理し、経営状況の変化を数値から把握します。

病院経営では、感覚的な判断だけでは改善の優先順位を決めにくい場合があります。

医療経営コンサルタントは、データをもとに課題を整理し、経営判断を支援します。

 

コスト分析の実施

コスト分析では、診療材料費、医薬品費、委託費、保守費などの支出構造を確認します。

厚生労働省の資料では、一般病院における医業収益対診療材料費・医薬品費の構成比が令和6年度で27.2%と示されています。

そのため、購入単価、使用量、契約条件、在庫状況を整理し、改善余地を確認することが必要です。

 

調達最適化支援

調達最適化支援では、診療材料や医療消耗品の購買状況を分析します。

同等品の比較、購入先の整理、契約条件の確認を行い、費用対効果を高める方法を検討します。

また、用度部門や調達部門だけでは把握しにくい使用実態も確認対象になります。

価格の妥当性を判断する際は、他院の購入単価や市場価格と比較するベンチマーク分析が有効です。自院の価格が市場水準に対して高いか低いかを把握することで、交渉余地を具体的に見極められます。

さらに、複数の医療機関が購買量を集約してメーカーと交渉する共同購買(GPO:Group Purchasing Organization)の活用も選択肢になります。購買力(バイイングパワー)を背景にすることで、単独では引き出しにくい価格条件を得られる場合があります。その前提として、同等の機能を持つ医療材料の品目集約や規格の標準化が交渉力を高める鍵となりますが、実際に使用する現場の理解と協力が欠かせません。

あわせて、SPD(院内物流管理)の運用や在庫水準を見直すことで、過剰在庫やデッドストック(不動在庫)の削減、物流コストの適正化にもつながります。いずれの場合も、安全性や診療品質を損なわない範囲で進めることが前提です。

 

医事業務の改善

医事業務の改善では、請求漏れ、査定、返戻の発生状況を確認します。

診療報酬の算定要件は複雑であり、確認体制が不十分な場合は収益機会を逃す可能性があります。

そのため、医事課の業務フローや確認ルールを整理し、請求精度を高めることが必要です。

具体的には、査定・返戻の傾向を分析するレセプト点検のほか、取得済みの施設基準が要件を満たし続けているかを確認する届出・維持管理の支援も含まれます。算定可能な加算の取りこぼしや、要件未充足による施設基準の返上といったリスクを早期に把握することで、収益の安定につながります。

 

経営戦略の立案

経営戦略の立案では、地域特性、病床機能、診療科構成、外来と入院のバランスを確認します。

さらに、将来的な医療需要や診療報酬改定の影響も踏まえ、病院としての方向性を検討します。

医療経営コンサルタントは、経営層が判断しやすい形で情報を整理し、実行計画づくりを支援します。

 

診療報酬改定を踏まえた経営支援

診療報酬改定は、病院の収益構造や医事業務に直接影響する重要なテーマです。

こちらでは、診療報酬改定を踏まえた経営支援をご紹介します。

 

改定内容の把握

診療報酬改定では、点数や施設基準、算定要件が見直されます。

改定内容を正しく把握できない場合、算定漏れや施設基準への対応遅れが発生する可能性があります。

そのため、改定内容を早期に確認し、自院への影響を整理することが必要です。

 

自院への影響分析

診療報酬改定への対応では、改定内容を読むだけでなく、自院の収益や業務に与える影響を分析します。

対象となる診療科、入院料、加算、施設基準を確認し、どの領域に影響が出るかを整理します。

また、算定機会の有無だけでなく、必要な運用体制や記録体制も確認が必要です。

 

医事請求漏れの防止

診療報酬改定後は、算定要件の変更により請求漏れが発生する場合があります。

医療経営コンサルタントの支援を受けることで、確認項目や運用ルールを整理しやすくなります。

ただし、最終的な運用は自院主体で進める必要があり、外部支援はその体制づくりを補う位置づけです。

 

改定後の効果検証

診療報酬改定への対応は、改定前の準備だけで完了するものではありません。

改定後には実際の請求状況や収益の変化を確認し、想定との差異を検証します。

また、現場運用に負担が生じていないかを確認し、必要に応じて業務フローを見直します。

 

導入で得られる効果

導入で得られる効果

■撮影用にレンタルしたスペースにて撮影を行っています。

医療経営コンサルタントを導入することで、病院の経営課題を数値で把握し、改善策を検討しやすくなります。

以下にて、導入で得られる効果について解説します。

 

経営改善の具体効果

経営改善の効果は、病院全体の状況を客観的に把握できる点にあります。

収益や費用の変化を部門別に整理することで、優先して改善すべき領域が明確になります。

 

コスト削減の成果

コスト削減では、診療材料費や委託費などの見直しが成果につながる場合があります。

ただし、病院では安全性や診療品質を損なわない範囲で進める必要があります。

そのため、支出額だけでなく、使用量、契約条件、現場運用をあわせて確認することが必要です。

 

業務効率化の変化

業務効率化では、部門間の連携や確認作業の重複を見直します。

医事、用度、調達、経営企画などの業務を整理することで、属人化や手戻りを抑えやすくなります。

 

データ分析の活用

データ分析を活用すると、経営課題を早期に発見しやすくなります。

月次データ、購買データ、請求データを継続的に確認すれば、変化の兆候を把握できます。

 

医療経営コンサルタントを起用するメリットとデメリット

医療経営コンサルタントの活用には、外部の視点で経営課題を整理できる利点があります。

こちらでは、医療経営コンサルタントの活用によるメリットとデメリットをご紹介します。

 

メリット

医療経営コンサルタントを起用するメリットは、院内では見えにくい課題を客観的に整理できる点です。

病院経営では、診療部門、事務部門、経営層の視点が異なるため、課題の捉え方に差が出る場合があります。

外部の支援が入ることで、各部門の情報を横断的に分析し、改善の方向性を整理しやすくなります。

また、医療制度や診療報酬、調達領域に関する知見を活用できる点も利点です。

さらに、経営改善の実行段階まで支援を受けられる場合は、院内の負担軽減につながります。

資料作成、データ分析、改善案の整理を支援してもらうことで、担当者は意思決定や現場調整に集中できます。

そのため、限られた人員で経営改善を進めたい病院にとって、有効な選択肢になります。

 

デメリット

デメリットは、コンサルティング費用が発生する点です。

依頼範囲が広くなるほど費用も大きくなるため、事前に目的を明確にする必要があります。

また、病院側が必要なデータを提供できない場合、分析の精度が下がる可能性があります。

そのため、契約前には支援内容、成果物、実行範囲を確認することが不可欠です。

さらに、医療業界への理解が浅い支援先に依頼すると、実態に合わない提案になる場合があります。

病院では、一般企業と異なり、診療報酬や医療安全、現場負担を踏まえた判断が必要です。

 

コンサルタント選びのポイント

コンサルタント選びのポイント

医療経営コンサルタントを選ぶ際は、費用だけで判断せず、医療分野の専門性や分析力を確認する必要があります。

以下にて、コンサルタント選びのポイントについて解説します。

 

医療特化の重要性

医療経営コンサルタントを選ぶ際は、医療業界に特化した知見があるかを確認します。

病院経営は診療報酬制度の影響を受けるため、一般企業の経営改善とは前提が異なります。

また、医師、看護部門、事務部門など、多職種が関わる組織である点も特徴です。

 

実績と専門性

実績を確認する際は、支援した病院の規模や支援テーマを見ることが重要です。

コスト削減や医事改善、経営分析、調達最適化など、自院の課題に近い実績があるかを確認します。

また、成果だけでなく、どのような手順で改善を進めたかも判断材料になります。

 

分析力の確認

分析力を確認するには、どのようなデータを使い、どの粒度で課題を把握するかを見る必要があります。

集計結果を示すだけでは改善につながる示唆は得にくくなるため、診療材料費、請求状況、部門別収支などを組み合わせて分析できるかが重要です。

また、数値の背景にある業務フローまで確認できるかも評価ポイントです。

 

継続支援の有無

経営改善は分析結果を受け取るだけで完了するものではなく、改善策を実行し、効果を検証しながら調整することで成果につながります。

そのため、定例会議や実行支援、効果検証まで対応できるかを確認する必要があります。

継続支援があれば、院内で改善活動を定着させやすくなります。

 

費用対効果の見極め

費用対効果を見極めるには、コンサルティング費用と期待できる改善効果を比較します。

ただし、医療経営では短期的な金額効果だけでなく、業務負担の軽減や管理体制の強化も評価対象です。

例えば、請求漏れの抑制や調達条件の見直しは、継続的な効果につながる可能性があります。

あわせて、契約形態と料金体系も確認しておきたいポイントです。一般に、継続的に助言を受ける顧問型、課題ごとに期間を区切るプロジェクト型、削減額などの成果に応じて報酬が決まる成功報酬型などがあり、支援範囲や期間によって費用は変わります。自院の目的に合った形態を選ぶことで、費用と効果のバランスを取りやすくなります。

 

導入の流れと進め方

導入の流れと進め方

医療経営コンサルタントの導入は、現状分析から始まり、課題整理、改善施策の設計、実行支援、効果検証へ進みます。

こちらでは、導入の流れと進め方をご紹介します。

 

現状分析の実施

導入時には、まず病院の経営状況や業務状況を分析しましょう。

収益、費用、購買データ、請求データなどを確認し、課題の全体像を整理します。

 

課題整理と優先度

現状分析の後は、抽出した課題に優先度を付けます。

すぐに改善できる課題と、中長期で取り組むべき課題を分けることで、実行計画が立てやすくなります。

 

改善施策の設計

改善施策の設計では、課題ごとに実行内容と担当部門を決めます。

調達見直しや医事業務の確認体制、経営指標の定例管理など、実務に落とし込むことが必要です。

 

実行と効果検証

改善策を実行した後は、定期的に効果を確認します。

コスト削減額、請求漏れの減少、業務時間の短縮など、目的に応じた指標を設定します。

効果が十分でない場合は、原因を分析し、施策内容を見直すことが必要です。

 

おわりに

本記事では、医療経営コンサルタントを活用した病院経営の改善支援について解説しました。

医療経営コンサルタントは、病院の経営分析、コスト分析、調達最適化、医事業務改善、診療報酬改定対応などを支援する専門家です。

ただし、経営改善は外部に任せきるものではなく、自院主体で進めることが重要です。

外部支援は、データ分析や課題整理を通じて、病院側の意思決定と実行を支える役割を担います。

診療材料費の上昇や医事請求漏れ、業務負担の増加に課題を感じている場合は、コンサルタントへの相談を通じて、自院に合った改善の進め方を検討してみてください。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。