【2024年診療報酬改定の最新情報】特定保険医療材料の償還価格改定について分かりやすく解説!
2024.03.28医療経営周知の通り、2024年(令和6年)は2年に1度の「診療報酬改定」の年です。
3月5日に今回の公示が行われましたが、今回の診療報酬および特定保険医療材料の償還価格の適用は、例年通りの4月1日ではなく、2カ月後ろ倒しした6月1日となります。(薬価は、従来通り4月1日の適用になります。)
本記事では「診療報酬および特定保険医療材料の適用が6月1日に後ろ倒しになった背景」と「償還改定で気をつけるべきこと」について、独自の情報を交えて解説していきます。
診療報酬改定について
診療報酬改定のスケジュール変更の背景
3月上旬の診療報酬改定の公示から、4月1日の診療報酬改定適用に間に合わせるために、医療機関やベンダは短期集中的な対応が必要になっていました。その負荷が、医療DXにおける課題として挙げられ、解消のために以下の事が決定しました。
- 診療報酬や償還価格の適用日を6月1日に後ろ倒す(薬価は4月1日適用のまま)
- 将来的に各医療機関・ベンダが共通で使える「共通算定モジュール」の開発
※詳細については、「中央社会保険医療協議会」の[令和5年4月26日]および[令和5年8月2日]の資料などをご参照ください。
2024年の診療報酬改定の具体的なスケジュール
診療報酬改定の公的なスケジュールは以下になります。
- 1月12日 …厚生労働省から中央社会保険医療協議会に諮問
- 2月14日 …中央社会保険医療協議会より答申
- 3月5日…厚生労働省から告示
- 4月1日から…薬価の改定(※診療報酬・償還価格はそのまま)
- 6月1日から…診療報酬・償還価格の改定
これを受けて、MRPのマスタ改定スケジュールは以下を予定しております。
- 3月8日…償還改定のまとめ資料を公開(MRPより情報提供)
- 4月上旬頃…Worth算定情報の更新(現在の償還情報に6月以降の新償還を追記)
- 5月31日夜…MRP医療材料マスタの更新(6月以降の新償還に対応)(※1)
- 7月上旬頃…Worth算定情報の更新(6月以降の新償還に対応)
(※1)6月以降のMRPマスタの表示・ダウンロードは新償還の内容となります。
特定保険医療材料の償還価格改定について
償還価格改定に伴い、機能区分や価格などが見直されます。価格以外の見直しとしては、以下のようなものがあります。
- 名称変更(5コード):使用実態に合わせた名称への変更など
- 定義変更(7コード):機能区分の定義を変更するもの
- 細分化(7コード):従来の機能区分の一部を、複数の機能区分に分けるもの(★1)
- 合理化・簡素化(22コード):従来の複数の機能区分を、1つの機能区分に統合するもの
- 留意事項変更(5コード):算定に関する留意事項を変更するもの(★2)
単純な価格変更分や上記の(★1)以外は、レセプト電算コードに対応する 新償還金額に変更になります。
(★1)は、商品別に該当する機能区分の確認が必要なため、納入業者への確認が必須ですが、各納入業者への確認には非常に時間がかかります。
(★2)は、留意事項が増えているので現場や医事側で確認が必要です。
また、償還価格が大きく引き下がる場合、特定保険医療材料の安定供給等の観点から、償還価格を段階的に引き下げる経過措置(6コード)を設定することがあります。
※2024年度改定分の変更一覧表(案)
(厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会」(第581回)議事録次第 総-3-1より抜粋)
償還価格改定で気をつけるべきこと(事例)
各医療機関において、2年に1度の償還価格改定に伴って注意すべき事例を2点あげます。
事例1
急性期病院の医療材料購入費は、大半を特定保険医療材料が占めています。
この特定保険医療材料を現在適正価格で購入できていたとしても、償還価格改定後も適正かどうかは判りません。医療材料の償還価格が変更されれば、新しい償還価格に対する適正な購入価格に見直す必要があります。 そのため、継続的な価格モニタリングと見直しが重要となります。
事例2
償還金額から税込購入金額を引いたものは「償還差益」と呼ばれ、診療報酬や薬価差益と共に、病院の収益源の1つとなります。そのため、適正な価格で特定保険医療材料を購入する必要があります。
償還金額は自動的に下がりますが、業者からの購入価格は自動的には下がりません。特に、削減幅の大きい「経過措置品」は、段階的に償還価格が変更となりますが、適正な価格見直しが行われないことにより、償還差益が減少するだけに留まらず、購入金額が償還金額を上回る「逆ザヤ」の状態が発生することもあります。
このため、常に最新の償還金額を把握できる環境(償還情報を含む医療材料マスタ管理をする)を作り、「経過措置」も考慮した購入価格の見直しをしていくことが重要になります。
最新の償還情報の取得方法を検討
前章で述べたようなマスタ管理を独自で行うには、かなりの労力(コスト)がかかるため現実的ではありません。このため、「外部マスタの利用」も検討課題と言えます。
なお、MRPでは「MRP医療材料マスタ」を医療機関に限り無料でご利用可能にしています。使用頻度の高い50万件以上の医療材料を収載し、「物流」や「保険請求」などで必要になる基本的な項目を網羅しています。
また、「MAVISマスタWorth」(有償)は、「MRP医療材料マスタ」の情報に「点数加算データ」「特材算定ルール」「より詳細な分類」を加えたもので、CSV形式でダウンロードすることも可能です。
おわりに
本記事では、2024年の診療報酬改定について、「診療報酬および特定保険医療材料の適用が6月1日に後ろ倒しになった背景」と「償還改定で気をつけるべきこと」を解説しました。
診療報酬や薬価差益と共に、病院の収益源の1つとなる「償還差益」を適正に得るためには、常に最新の償還金額を把握できる環境を作る(償還情報を含む医療材料マスタ管理をする)ことが重要となってきます。
「MRP医療材料マスタ」「MAVISマスタWorth」についてご質問があればお気軽にお問い合わせください。
MRP医療コラム編集部
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