病院経営管理指標について| 医療経営を支える指標と活用法

2025.04.14医療経営

病院経営管理指標について

病院は患者を対象として医療サービスを提供し、健康状態の維持・回復・向上を目的としている施設です。

病院経営もビジネスであることから収支を考慮しなければならず、健全に維持し、効率的に運営を行わなければなりません。

経営管理の際には病院の財務状況や運営状況を客観的に分析し、課題を特定する指標である「経営管理指標」を確認しましょう。

本記事では、病院経営管理指標の概要や主要な指標の種類、活用方法について解説します。

 

病院経営管理指標とは

病院経営管理指標とは、医療機関の経営状況を定量的に評価し、効果的な経営戦略の策定や改善のために活用される指標群です。

これらの指標は病院の財務状況や業務効率、サービスの質などを評価し、現状把握や意思決定を行う際の基準となります。

経営管理指標の活用により、経営の透明性を高めるとともに、経営資源の最適配分を目指すことができます。

 

導入の背景

日本の医療機関は少子高齢化の進行や医療費の増加、診療報酬の抑制など、経営環境の変化に直面しています。

これに伴い、病院の経営効率を高め、持続可能な運営体制の構築が不可欠な状況となりました。

経営管理指標の導入はこれらの課題に対応し、経営状態の「見える化」を図るための取り組みとして位置づけられています。

また、行政機関や医療関連団体も経営管理指標の活用を推奨しており、標準化された指標の整備が進められているのです。

 

主な経営管理指標の種類

主な経営管理指標の種類

こちらでは、病院で使われている主な経営管理指標の種類をご紹介します。

 

収益性指標

収益性指標は、病院がどの程度の利益を上げているかを評価する指標です。

代表的なものとして、以下の指標があります。

  • 総利益率:営業収益に対する利益率を示し、全体的な収益性を把握するのに役立ちます。
  • 営業利益率:診療報酬収入などの営業活動による利益率を示し、日常の診療業務がどれだけ利益を生み出しているかを測定します。
  • 純利益率:税引き後利益の割合を示し、最終的な経営成績を示す指標となります。

 

特に、診療報酬改定時や新規事業の立ち上げ時において、収益性指標は重要な指標となります。

 

安全性指標

安全性指標は、病院の財務的な健全性を示す指標であり、以下のような項目があります。

  • 負債比率:総資産に対する負債の割合を示し、借入依存度を評価します。
  • 自己資本比率:総資産に占める自己資本の割合を示し、財務の安定性を判断します。
  • 流動比率:短期的な支払い能力を示し、資金繰りの健全性を評価します。

 

特に経営環境の変化や不測の事態に対応できるかどうかを判断するために、これらの指標は重要な役割を果たします。

 

効率性指標

効率性指標は、病院の経営資源(人材、物資、施設など)がどの程度効率的に活用されているかを示します。

具体的には、以下の指標があります。

  • 病床稼働率:病院のベッドがどれだけ有効に使われているかを測定する指標であり、経営の無駄を減らすために重要です。
  • 平均在院日数:患者の平均入院日数を示し、病床回転率や医療の効率性を判断する指標となります。
  • 患者1人当たりの診療単価:診療報酬の適正化や収益改善のために活用されます。

 

ほかにも生産性指標、成長性指標などがありますが、患者の数や外部環境なども影響します。

爆発的に患者数(=収益)が増加する可能性は低いと考えられるため、先述した収益性・安全性・効率性を押さえましょう。

効率性指標を活用することで、業務プロセスの最適化を進め、コスト削減や患者満足度の向上を図ることができます。

 

病院経営管理指標の活用方法

病院経営管理指標の活用方法

下記にて、病院経営管理指標の活用方法をご紹介します。

 

経営状況の分析

経営管理指標を活用することで、病院の経営状況を客観的に分析できます。

過去の実績データと比較したり、業界全体の平均値と照らし合わせたりすることで、現状把握や経営上の課題、改善点を特定します。

定期的なモニタリングを実施することにより、問題の早期発見・対応が可能となります。

 

経営改善への応用

経営管理指標は、経営改善策の立案・実行にも役立ちます。

たとえば、収益性指標の低下が見られた場合、診療報酬の見直しや患者数の増加施策を検討するきっかけとなります。

効率性指標の分析によって、業務の効率化や人材の適正配置、医療材料の管理改善などの取り組みができます。

さらに、財務指標の活用により、適切な資金調達や投資判断を行い、将来の経営リスクを軽減します。

 

病院経営管理指標は、経営者だけでなく、医療従事者や事務職員にも共有されるべきです。

組織全体で指標を活用し、目標達成に向けた意識の統一が図られることで、より質の高い医療サービスの提供が期待できます。

 

おわりに

本記事では、病院経営管理指標の概要や主要な指標の種類、活用方法について解説しました。

病院経営管理指標とは、医療機関の経営状況を定量的に評価し、効果的な経営戦略の策定や改善のために活用される指標群です。

少子高齢化の進行や医療費の増加、診療報酬の抑制など、経営環境の変化に直面していることから、考慮されるようになりました。

病院経営管理指標を用いることで、経営状況の分析や経営改善などへの応用が実現できます。

健全な病院経営を実現するために、財務諸表や病院経営管理指標を確認しましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。