病院経営を揺るがす課題をどう考える|現状から課題解決の対策を解説
2024.10.08医療経営「病院経営がうまくいかない」
「課題は分かっているが、解決方法が分からない」
このように考える病院の経営者の方々は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
病院の院長や開業医の先生方は患者さんの診療・治療だけではなく、経営にも携わるため、勤務医よりも多くの課題を抱えます。
本記事では、病院経営に影響を及ぼす課題について、現状から解決方法までの対策とあわせて解説します。
病院経営の動き|医療業界が直面する現状とは?
病院は入院・通院する患者さんを対象として、身体機能の維持・回復を目的として診療・治療を行う医療機関です。
医療従事者のなかには医者や看護師、医療事務といったさまざまな方が、それぞれの役割を果たして患者さんに貢献します。
一般の方が病院の勤務状況を見てみると、医療従事者は患者さんの診療・治療の業務のみを行っているように見えます。
しかし、医療従事者は患者さんだけではなく、病院経営に関する業務も行っているため、作業量は非常に多い職種なのです。
後述する要因のほかにも、診療報酬や介護報酬の改定といった、さまざまな要因が経営に大きな影響を及ぼします。
独立行政法人福祉医療機構の調査によると、病院の利益率は年々下降傾向にあり、その影響もあって赤字経営の病院が多くあります。
参考ページ:独立行政法人福祉医療機構ホームページ「2022年度 病院の経営状況(速報値)について」
(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/231030_No002.sokuhou.pdf)
病院経営を揺るがす3つの課題
こちらでは、病院経営を揺るがす3つの課題をご紹介します。
人件費の増加
厚生労働省の調査結果によると、病院の人件費は一般的には支出全体の5~6割程度であることから、大きなウエイトを占めています。
人件費は年々増加傾向にあることから、病院経営を揺るがす大きな課題となっているのです。
病床稼働率の減少
病床稼働率が高いということは、効率良く病床を運用していることから、その分得られる診療報酬が多くなります。
しかし、近年では病床稼働率が減少傾向にあることから、得られる診療報酬が少なくなるため、病院経営を揺るがしています。
コロナ禍の影響
コロナウィルスの感染拡大により、多くの病院では同ウィルスの重症患者に重点化し、入院や手術の延期を余儀なくされました。
また、パーテーションやマスクなどの衛生用品が大量に必要となったため、その際に出費がかさんでしまったのです。
病院経営の課題を改善するために大切なこと
下記にて、病院経営の課題を改善するために大切なことをご紹介します。
経営状況を把握する
病院経営において課題の抽出や改善方法を立案する際には、数値を含めて現状を把握することが重要です。
実は、経営改善が必要な多くの病院は、自院の現状を正確に把握できていないことが多いものです。
経営改善の際は固定概念にとらわれず、客観的な目線で自院を定量的に評価し、現状を把握するところから始めましょう。
コストの適正化
病院では先述した人件費だけではなく、さまざまな資材を購入する際などにさまざまなコストが発生します。
人件費については残業時間や人員体制の見直しなどを行うことによって、コストの適正化を図ることが重要です。
資材購入については業者との価格交渉のほか、思い切って業者を切り替えることも有効な手段のひとつです。
経営方針および経営戦略の見直し
一見、経営方針や経営戦略は決して揺らいではいけないものだと思われている方が多くいらっしゃると思います。
しかし、病院経営がうまくいっていないときは、経営方針および経営戦略の見直しも有効な施策となり得るのです。
時流や経営状況などにより、経営方針や経営戦略の見直しを実施する病院が多くあります。
組織体制の強化
企業が経営を行う際も、課題となるところに人やシステムといったリソースを追加し、弱点の克服を狙う戦略があります。
病院においても、課題となるところに最適なスタッフやシステムを配置・設置することで、経営体質の改善が図れるでしょう。
一例として、紙カルテを電子カルテに変えて手作業を減らすことも、組織体制の強化に繋がります。
病院経営の課題解決は専門家に相談することも有効
先述の通り、病院経営の課題を解決するためには、客観的に自院の経営状況を把握することが重要です。
しかし、自分たちではさまざまなバイアスがかかってしまうことが多いため、正しい見方ができないことがあります。
そのような場合、経営の専門家であるコンサルタントに相談してみることをおすすめします。
コンサルタントは客観的に経営状況を確認し、課題の抽出や改善案を立案してくれます。
医療材料比率の低減と適切なコスト管理をコンサルティングと実務サポートで実現
当社では病院経営のなかでも「医療材料費率の低減」に特化したコンサルティングサービスを提供しています。
全国の医療機関の購入価格を比較できたり、材料費適正化に向けたデータ作成・分析、課題解決のための戦略策定などを支援することで、経営体質改善のサポートを行っております。
「自院は、適正な物品を適正な価格で購入しているのだろうか」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
当社サービスページ:病院経営コンサルティング サービス紹介
(https://www.mrp-spd.co.jp/home/service/consulting.html)
おわりに
本記事では、病院経営の課題と解決方法などについてご説明しました。
病院経営では人件費の増加や病床稼働率の減少、コロナ禍などが経営を揺るがす課題となっています。
経営体質改善の際は経営状況を把握してからコストの適正化、経営方針および経営戦略の見直し、組織体制の強化などが有効です。
自分たちでは改善が難しいと感じたときは、コンサルタントに相談することもおすすめです。
課題を抽出し、改善案を立案・実行することで、経営体質の改善を目指しましょう。
MRP医療コラム編集部
最新記事 by MRP医療コラム編集部 (全て見る)
- DPC制度とは?導入目的や利点、データ活用まで解説 - 2024年11月20日
- 長期収載品の選定療養の基本|対象品目や計算方法をわかりやすく解説 - 2024年11月20日
- 電子処方箋の義務化はいつから?目的や仕組み、導入状況を解説 - 2024年10月10日