2025年に実施される薬価改定の概要と医療・製薬業界に与える影響

2025.03.27医療経営

薬価改定の概要と影響

現在市場に流通している医薬品の価格は不変ではなく、2年に1度の頻度で全面的に見直されます。

この「薬価改定」は、医療費の適正化と医薬品の安定供給、創薬イノベーションの推進が目的です。

次回は2026年に実施予定ですが、2025年には中間年薬価改定が実施されます。

本記事では、2025年に実施される中間年薬価改定の概要、および医療・製薬業界に与える影響について解説します。

 

2025年度の薬価改定の概要

「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月閣議決定)において、2025年度薬価改定のあり方が検討されました。

国民負担軽減はもちろん、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保・要請に応えることを目的としています。

下記は対象となる品目になります。

概要 対象品目
新薬のうち、新薬創出等加算の対象品目 平均乖離率(5.2%)の 1.0 倍(乖離率 5.2%)を超える品目
新薬のうち、新薬創出等加算の対象外品目 平均乖離率(5.2%)の 0.75 倍(乖離率 3.9%)を超える品目
長期収載品 平均乖離率(5.2%)の 0.5 倍(乖離率 2.6%)を超える品目
後発品 平均乖離率(5.2%)の 1.0 倍(乖離率 5.2%)を超える品目
その他 平均乖離率(5.2%)の 1.0 倍(乖離率 5.2%)を超える品目

 

算出式は下記であり、調整費については改定前薬価(税込み)を上限としています。

  • 新薬価 = {医療機関・薬局への販売価格の加重平均値(税抜きの市場実勢価格)} × {1+消費税率(地方消費税分含む)} + 調整幅

 

当改定における変更点

当改定における変更点

2025年度の薬価改定では、下記のような変更が検討されています。

 

改定対象の乖離率基準の見直し

2023年度の中間年薬価改定では、平均乖離率7.0%の0.625倍(約4.375%)を超える品目が対象とされました。

一方、2025年度は平均乖離率5.2%を基準とし、品目によって異なる倍率を適用することで、きめ細やかな対応が実現できます。

改定による影響額は3,100億円といわれており、対象品目は13,400品目にものぼります。

 

創薬イノベーション推進のための加算措置

2023年度の改定では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算が、特例的に増額されました。

2025年度でも追加承認品目等に対する加算を臨時的に実施し、引き続き新薬開発を支援する方針が示されています。

これらを実施することで、有効な医薬品を適切に見極めてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図ります。

 

不採算品再算定の適用拡大

2023年度では医薬品の安定供給や原材料費の高騰に対応するため、1,100品目に対して不採算品再算定が適用されました。

2025年度では安定供給が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施します。

最低薬価を引き上げることによって、供給体制の強化が期待されています。

 

これらの変更点により、医療費の適正化と医薬品の安定供給、新薬開発の促進がより一層推進されることが期待されます。

しかし、薬価改定はすべての医療機関にポジティブな影響を与えるだけではなく、品目などによってはマイナスの影響を受けてしまうことがあります。

 

薬価改定による医療・製薬業界への影響

医療・製薬業界への影響

薬価改定が行われることで、薬価差益の減少や在庫管理コストの増大が懸念されています。

薬局における売上の大半は薬剤費が占めていることから、医療機関よりも経営が厳しくなることがあります。

近年ではジェネリック医薬品が普及していますが、新薬と比較するとまだ発展途上にあるといえます。

特に、薬価改定により大きく価格が変動した、乖離率が高い薬については薬局の経営に大きな影響をおよぼします。

これらに対応するため、下記のような特例措置が実施されることがあります。

  • 地域の薬局間で医薬品備蓄状況の共有および医薬品の融通
  • 医薬品供給の状況や自局の在庫状況を共有することによる、対応内容の調整
  • これら情報の行政機関との連携

 

医療機関においては薬局ほどの比率はないものの、医薬品・処方箋の提供による収益も一部含まれています。

そのため、薬局と同様に経営に影響をおよぼすことが考えられます。

先述の通り、薬価改定は2年に1度のペースで実施されますが、その間にも中間改定が行われることがあります。

経営に大きな影響をおよぼすことから、薬価改定は各種機関と連携して慎重に調査された結果を基に検討されます。

流行病などを考慮して、需要が低い薬を値上げし、需要が高い薬を値下げするなど、さまざまな試みが行われています。

これらは流動的であることから、定期的に内容が見直されるのです。

 

おわりに

本記事では、2025年に実施される薬価改定について解説しました。

薬価改定は医療費の適正化と医薬品の安定供給、創薬イノベーションの推進が目的となる政策です。

2025年度の改定では平均乖離率5.2%を基準として、新薬や後発医薬品などがそれぞれ改定対象となりました。

薬価改定は定期的に実施され、収益にも大きな影響をおよぼします。

安定した経営を実現するためには、薬価改定の内容を理解し、正確な売買価格や在庫量の把握、自施設における影響度の分析などが重要です。

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MRP医療コラム編集部

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