医療のICTについて|必要とされる背景や効果、現状の課題とは?

2024.10.08医療経営

医療のICTについて

医療業界において、現在でも多くの手作業によって業務効率化が実現しにくい点が課題となっています。

そこで、電子カルテやレセコンといった、さまざまなITツールを導入することで、業務効率化を図ろうとしています。

国の施策としても補助金や助成金の発行といった、さまざまなサポートを行って業務効率の改善を図っています。

本記事では、医療のICTについて、必要とされる背景や効果、現状の課題などとあわせて解説します。

 

医療のICTとは?

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略であり、ITを利用したやり取りの方法を指します。

医療DXに含まれる要素であり、遠方の患者さんとのやり取りや、オンライン診療などが含まれます。

また、患者さんの情報をやり取りする電子カルテやレセコンなども、ICTに含まれる要素です。

 

ITとICTの違い

ICTと類似する言葉のなかには、ITがあります。

IT(Information Technology)とは情報技術と呼ばれるものであり、コンピュータやハード・ソフトウェアなどが含まれます。

つまり、ITは情報に関する技術であり、ICTはITを利用した情報のやり取りの方法を指すという違いがあります。

 

医療業界でICT化が必要とされる背景

医療業界でICT化が必要

医療業界では、下記の理由からICTが必要とされています。

  • 医師や医療機能などのリソース不足
  • 人材・医療機能不足などによる医療従事者ひとりあたりの負担増大
  • 労働人口の減少による国民ひとりあたりの医療費の増加

 

上記をまとめると、医師や医療機能などの限られたリソースで、これまで以上の成果を上げなければならないのです。

しかし、医療従事者が少ないため、現状のリソースではできることが限られてしまいます。

そこで、医療ICTを導入・利用して医療従事者の負担を軽減する必要があるのです。

 

ICT化における医療業界の現状

下記は、ICT化における医療業界の現状と課題です。

 

普及率が低い

電子カルテをはじめとした、医療ICTは導入時に高額な費用が必要であることが要因で、導入率がまだ低い傾向にあります。

また、高齢な医師は紙カルテなど手作業に慣れていることから、ICTに抵抗がある方が多いことも要因のひとつと考えられます。

 

病院ごとに差があらわれやすい

先述の通り、ICTの導入時には高額な費用が必要となることから、資本が少ない病院は導入が難しいものです。

国としては補助金や助成金などを発行して資金面のハードルを下げるように努めていますが、それでも一定の資本が必要となります。

 

セキュリティ対策

ITやICTはインターネット技術を利用するため、医療機関には堅牢なセキュリティ対策が求められます。

医療機関では患者さんの名前や住所などをはじめとして、診療情報など多くの個人情報を取り扱っているため、セキュリティ対策は必須事項です。

 

システムのトラブルへの対応

ICTにはさまざまなシステムが含まれており、それぞれが連携することで最大の機能を発揮することができます。

しかし、何らかの理由でシステムにトラブルが発生したときは、原因を追及したうえで迅速に対応しなければならない点が課題といえます。

 

医療のICT化に期待できる効果

医療のICT化に期待できる効果

こちらでは、医療のICT化に期待できる効果をご紹介します。

 

最適な医療の提供が可能になる

ICTを導入することで手作業を減らしたり、遠方の患者さんを診察したりすることができるため、医療の質を向上させることが可能です。

診察数が増えることによって、医療機関の収益を向上させられる点もメリットといえるでしょう。

 

業務効率化が図れる

ICTやAIを活用することで、医師や医療事務の入力効率を改善することができるため、業務効率が向上します。

医師は診察業務に集中することができ、患者さんは待ち時間を減らすことができるため、両者にメリットがあるのです。

 

地域医療の拡大化

現状の医療は、自院が所有しているデータを参照して診察時の参考としています。

しかし、ICTを利用することで高齢化社会を見据えた、地域医療を拡大することができます。

 

ビッグデータの利活用促進につながる

ICTで得られたデータは、近隣の地域だけではなく国単位で管理することによって、全国でデータを利用することができます。

ビッグデータは新薬の開発や診察技術・治療法の発案など、二次利用の際にも使われます。

 

現状では資金面や使用感といった、ICTの導入に関してさまざまな課題が残っています。

しかし、国単位で医療DXが進められているほか、導入後に活用することで利便性に気付くことでしょう。

総じて、医療業界にとってICTは、これからなくてはならないようなものとなります。

 

おわりに

本記事では、医療機関のICTについてご説明しました。

ICTはITを利用したやり取りの方法を指すもので、電子カルテやレセコンなどが含まれています。

医療機関がICTを導入することで、下記のようなメリットを得ることができます。

  • 最適な医療の提供が可能になる
  • 業務効率化が図れる
  • 地域医療の拡大化
  • ビッグデータの利活用促進につながる

 

ICTを導入することで業務負担を軽減し、より良い医療の提供を実現しましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。