医療経営で活用すべき電子カルテの種類とメリット・デメリットを解説

2023.11.09医療経営

医療経営で活用すべき電子カルテ

医療の現場では、日々多くの患者さんの対応や事務作業を行っているため、医師や事務員は多忙な業務に追われています。

しかし、病院では患者さんの回復だけではなく収益も求められるため、同じ作業を短時間で効率良く行わなければなりません。

診療業務について、近年では業務効率の改善や管理能力の向上を目的として、「電子カルテ」を使用する病院が多くなりました。

本記事では、医療経営の観点で電子カルテを使用するメリットとデメリットをご紹介します。

 

電子カルテとは?

電子カルテとは、従来のように紙媒体ではなく、デジタルデータ上で患者さんの診療情報を作成・管理するシステムです。

紙媒体のカルテで作成すると、下記のようなデメリットが発生します。

  • カルテを保管するスペースが必要になる
  • 管理が煩雑になりがち
  • 必要な情報をすぐに引き出すことができないことがある
  • 診療報酬を手計算で行わなければならない など

 

電子カルテは省スペースで多くの診療情報を管理することができるほか、必要な情報をすぐに引き出すことができます。

そのため、患者さんの情報をすぐに記載する・次の患者さんの情報をすぐに準備するといったことが可能になります。

1日で診療できる患者さんの数が多くなると、患者さんの満足度向上と収益向上の効果を得ることができます。

総じて、電子カルテを導入することで診療に関する業務効率が改善できるため、近年では多くの病院に導入されています。

 

電子カルテの種類と特徴

電子カルテの種類と特徴

電子カルテには、院外サーバーにデータを保管する「クラウド型」と、院内サーバーを利用する「オンプレミス型」があります。

こちらでは、それぞれの特徴をご紹介します。

 

クラウド型

クラウド型の電子カルテは、インターネット回線を通じて院外のサーバーとデータのやり取りを行う電子カルテです。

院内にサーバーを設置する必要がないことから、省スペースで運用することができます。

また、病院がトラブルに見舞われたときでも、端末を利用してデータの入出力ができる点もメリットと言えます。

後述するオンプレミス型と比べて低価格で導入することができ、バックアップの面で安心できる点も大きな魅力です。

一方、クラウド型電子カルテを導入する際はインターネットの環境が必要であり、通信代などのランニングコストが必要となる点には注意しなければなりません。

 

オンプレミス型

オンプレミス型の電子カルテは、院内で保有しているサーバーに情報を蓄積するタイプの電子カルテです。

院内にサーバーを設置しなければならないため、導入の際には多額の初期費用が必要になる点には注意しなければなりません。

しかし、クラウド型と比べると自院に合ったカスタマイズが可能であるため、使いやすさや視認性を向上させることができます。

最大の特徴として、院内ネットワークを利用していることから、コンピューターウィルスの影響を受けにくいことが挙げられます。

クラウド型はインターネットを利用するためコンピューターウィルスに感染してしまうリスクがありますが、オンプレミス型はインターネット接続が不要です。

そのため、クラウド型よりもウィルスの脅威を抑えたい病院はオンプレミス型を選ぶ傾向にあります。

 

電子カルテを導入する際のポイント

電子カルテを導入する際のポイント

電子カルテを導入する際は、下記のポイントを考慮しておきましょう。

 

ほかのシステムとの連携性

電子カルテは診療情報を記載するためのシステムですが、診療データには問診だけではなくさまざまなものが含まれています。

レントゲン写真の撮影や診療報酬の計算などは、その一例と言えます。

そのため、電子カルテを導入する際はレントゲン写真やレセコンといった、ほかのシステムとの連携性を確認しましょう。

既存システムと連携できない電子カルテを導入した場合、業務効率の改善が難しくなります。

こちらについては電子カルテのメーカーに相談することで解決することができるため、導入前の確認が重要です。

 

診療情報の入力サポート

近年では電子カルテにもAI技術が導入されているものがあり、ユーザーの入力サポートを行ってくれるようになりました。

よく使う項目や予測変換機能などが搭載されている電子カルテは、診療業務の効率改善に貢献してくれることでしょう。

また、電子カルテによっては患者さんの症状を入力すると、疾病の種類を予測して提案してくれるものがあります。

入力サポート機能を利用することで、これまで以上に効率よく質が高い診療を行うことができるため、あればうれしい機能だと言えます。

 

サポート体制

メーカーによって、購入後の電子カルテに対するサポートはさまざまです。

たとえば、初期費用が高額でも部品交換や修理を無料で行ってくれるメーカーがあります。

一方、初期費用が抑えられていても、内容によっては修理費用を請求するメーカーもあるものです。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、自院に合ったサポートを提供しているメーカーを選ぶことが重要です。

 

おわりに

本記事では、電子カルテを用いた医療経営の効率化についてご説明しました。

電子カルテは診療情報をデジタルデータ上で作成・保管するシステムで、下記のようなメリットを得ることができます。

  • カルテを保管するスペースが不要
  • 管理がしやすく、データの入出力を素早く行える
  • 手作業を減らすことができる

 

電子カルテにはクラウド型とオンプレミス型があるため、自院に合ったシステムを選ぶことが重要です。

紙カルテを使用している病院は、業務効率改善を目的として電子カルテの導入を検討してはいかがでしょうか。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。