SPD業務の外部委託と自院運用におけるメリット・デメリットを解説

2024.10.08医療経営

SPD業務の外部委託

病院を含む医療機関では、診察や治療だけではなく、事務作業や衛生管理など、さまざまなシーンで使用するものを在庫しています。

経営を圧迫しないように、これらの物品は多すぎず少なすぎず、最適な量を保管しておく必要があります。

しかし、在庫確認や受発注などを行う際には、正確さと作業スピードが求められます。

本記事では、SPD業務の外部委託と、自院運用におけるメリット・デメリットについて解説します。

 

SPD業務とは?

SPD業務とは、下記3つの要素を含むもので、医療機関が使用・消費する物品に関する業務を指します。

  • S:Supply(供給)
  • P:Processing(加工)
  • D:Distribution(分配)

 

業務内容としては在庫管理や購買管理、消費データ管理など物品に関するさまざまなものが含まれています。

SPD業務の特徴として、自院での運用だけではなく、SPD業者へ外部委託するケースもあります。

自院の業務管理の工数を減らすことができるため、近年ではSPD業務を外部委託する医療機関も多くなりました。

 

SPD業務における現状と課題

SPD業務における現状と課題

一般社団法人 日本SPD協議会によると、近年では病院はSPDについての理解が深まったと発表しました。

しかし、現場スタッフは理解しているものの、院長など経営層が物品の管理を軽視している医療機関があるとも発表しています。

本来、医療機関におけるSPD業務は独自に行うべき業務ですが、スタッフのリソースや経験不足により、実施できないことがあります。

また、仕入れ先変更や価格交渉といった、医療機関の利益に影響を及ぼすような交渉は、経営層なども参加して実施するべきです。

価格だけではなく、利便性や営業員との関係性などの観点から、取引先を変更することもあるでしょう。

このように、SPD業務は医療機関の収益体質を改善するための、外すことができない業務であるといえます。

しかし、業務が多忙な医療機関では、SPD業務にまで手が回らないということが多くあります。

重要性が分かっているものの、自院ではSPD業務を行うことができないときは、SPD業者へ外部委託することになります。

自院でSPD業務を行いたいものの、実施するためのリソースを割けないジレンマが、現状の課題といえるでしょう。

 

SPD業務の運用方法

こちらでは、SPD業務の運用方法をご紹介します。

 

SPDシステムを導入し自院で運用する

近年ではさまざまな企業が、医療機関内でSPD業務を行えるようなツールやシステムを販売・提供しています。

外注をしないことから委託費が発生しないほか、ランニングコストは委託費よりも抑えられる点が特徴です。

一方、SPD業務を行うためには人員の確保やパソコンのスキルといった、さまざまな課題を解決する必要があります。

 

物品管理のみ外部委託する

SPD業務の業務委託のなかには、物品管理のみを外部委託できるサービスがあります。

丸ごと委託するよりも費用が抑えられるほか、時間がかかるところだけを依頼できるため、業務効率の改善が期待できます。

しかし、物品を管理する際にはそのためのスペースが必要になるほか、在庫は自院が買い取ることになるため、それなりに負担は大きいといえます。

 

物品管理と購買(調達)をまとめて外部委託する

SPD業務に割くリソースやノウハウを蓄積するための時間をかけられないときは、物品管理と購買をまとめて外部委託します。

医療機関スタッフは診療や会計といった、物品管理以外の業務に時間を割けるため、作業効率を向上させられます。

一方、丸ごと外部委託をしたときはその分だけ費用が高くなるほか、院内にノウハウが蓄積されない点には注意が必要です。

特に購買(調達)業務を委託する場合は、ベンチマークなどを活用し定期的に監査・モニタリングをするための仕組みづくりが重要といえるでしょう。

 

SPD業務を自院で運用するメリット・デメリット

SPD業務を自院で運用することで、下記のようなメリットを得ることができます。

  • 外部委託業者に費用を支払わなくて済む
  • 自分たちで最善の調達先を調べられる

 

自院でSPD業務を実施することによって、ランニングコストを抑えられるほか、自院に合った取引先を選ぶことができます。

これらは自院に合った経営を行うための重要な要素であり、収益体質の改善が期待できるでしょう。

一方、自院でSPD業務を行うと、下記のようなデメリットが発生します。

  • SPD業務を行うための人員が必要
  • スタッフによって能力に差が出る

 

SPD業務を兼業で行うと業務の質が低下することから、専属のスタッフを着けることがおすすめです。

しかし、そのためには雇用や教育にコストがかかるほか、スタッフによっては能力に差がある可能性が考えられます。

 

SPD業務を外部委託するメリット・デメリット

SPD業務を外部委託するメリット

SPD業務を外部委託することで、下記のようなメリットを得られます。

  • スタッフの業務効率を改善することができる
  • 外部委託できるサービスを選べる

 

自院スタッフがSPD業務を行う必要がなくなることから、スタッフの業務効率を改善することができます。

一方、SPD業務を外部委託することで、下記のようなデメリットが発生する点には注意しましょう。

  • 外注費用が発生する
  • 外注先を探す手間が発生する
  • 材料費などが高止まりする可能性がある

 

これらのメリット・デメリットを考慮し、まずは自院で運用するのか、外注するのかを検討しましょう。

 

エム・アール・ピーの「医療材料比率の低減」を実現するコンサルティング

当社では、医療機関様の状況を考慮し、ベンチマークシステムの提供や、材料費率の低減(適正化)に特化したコンサルティングサービスを提供しています。

材料費は病院経営を圧迫する大きな要因となっていることから、これらを改善することで経営状況を改善することができるのです。

ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

 

当社サービスページ:コンセプト

(https://www.mrp-spd.co.jp/home/service/concept.html)

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MRP医療コラム編集部

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