レセプトデータとは?DPCデータとの違いや作成手順を解説

2025.02.10医療経営

レセプトデータとは

医療機関が診療報酬を請求する際、レセプトデータ(診療報酬明細書)を作成し、審査支払機関に提出後、承認を得られれば報酬を受け取ることができます。

かつてレセプトデータは紙媒体で作成されていましたが、近年ではレセコンなどを利用して正確かつ業務負担を減らしながら作成できるようになりました。

類似するデータのなかには、厚生労働省が定めた基準を満たした病院が取り扱う「DPCデータ」と呼ばれるものが挙げられます。

本記事では、レセプトデータとDPCデータの違いや、データの作成手順について解説します。

 

レセプトデータ(診療報酬明細書)とは

レセプトデータ(診療報酬明細書)とは、患者に対する診療や処方内容を記したデータ群になります。

項目は「入院」「外来」「歯科」「調剤」に分かれており、それぞれに詳細な情報が記載されています。

かつての医療機関では紙媒体にて診療情報などを記載していたため、ヌケモレや点数間違いなど、多くのミスが発生していました。

レセプトデータを作成する「レセプトコンピュータ(レセコン)」内には事前に医療行為ごとの点数が登録されているため、入力作業および算出が容易になり、業務効率が改善します。

 

レセプトデータの役割

レセプトデータは、医療機関が医療費を請求するために発行されます。

日本の保険制度では医療費の一部を患者が負担することになっており、満額を支払わなくても良い仕組みになっています。

残りの医療費に関しては、医療機関が診療行為に応じた報酬を審査支払機関へ申請します。

 

レセプトデータとDPCデータの違い

レセプトデータと同様に、診療報酬に関するデータとして「DPCデータ」が挙げられます。

DPC(Diagnosis Procedure Combination)データは、認可を受けた病院のみで取り扱われるデータです。

レセプトデータでは管理していないような詳細データも、DPCデータには含まれている要素が存在します。

一方、レセプトデータはクリニックや薬局など、入院内外でのすべての医療機関が対象となる点が異なります。

 

レセプトデータの記載内容

レセプトデータの記載内容

レセプトには、下記の情報が記載されています。

年月 診療年月
患者属性 患者ID、性別、年齢
施設情報 医療機関名(施設ID)、診療科、所在地、病床数、経営体
傷病情報 標準病名、ICD10分類、疑い病名、診療開始日、診療実日数
藥剤情報 医薬品名、ブランド名、成分名、一般名、ATC分類、投与量、投与日数、処方回数、後発品、剤型、診療区分
診療行為 検査項目・回数、処置・手術内容
材料情報 医療材料名・数量

 

参考ページ:厚生労働省ホームページ「第1章 レセプトとは」

 

レセプトデータの活用方法

レセプトデータは、先述した審査支払機関への申請だけではなく、下記のような活用方法があります。

  • 新薬開発の参考にするために、地域ごとの薬の使用率を知ることができる
  • 時間外診療の実施割合
  • 薬ごとの処方割合
  • 医療機関ごとの動向
  • 地域ごとの疾患情報・健康状態の把握

 

上記より、レセプトデータは医療に関する地域特性の理解や、新薬開発をはじめとした日本の医療技術の発展に貢献するデータといえます。

行政機関の場合、診療報酬改定の際に実績データとして活用されています。

 

参考ページ:社会保険診療報酬支払基金ホームページ

 

レセプトデータの作成手順

レセプトデータの作成手順

レセプトデータは、下記の手順で作成します。

なお、レセプトは毎月10日までに前月分のデータを送付しなければなりません。

 

1.  診療情報をレセコンに入力

診療報酬については特定の日にまとめて入力するのではなく、日々レセコンに入力しておくことでヌケモレを減らすことができます。

近年では電子カルテと連携しているレセコンもあるため、入力作業自体が自動化されている医療機関もあります。

 

2.  レセプトデータの作成

過去1ヶ月間に来院した患者のレセコン情報を参考に、レセプトデータを作成します。

紙媒体のときは膨大な時間が必要でしたが、レセコンが普及したことにより大幅に業務効率が改善されました。

 

3.  作成したレセプトデータの確認

診療報酬は医療機関の経営だけではなく、公費である国民医療費に大きな影響をおよぼすことから、不備や誤りがあってはなりません。

そのため、作成したレセプトは複数目により、入力内容の誤りやヌケモレなどがないかを確認する必要があります。

 

4.  医師によるチェック

複数のスタッフが確認したあとは、最終的に病院や診療所を経営する医師のチェックを経ます。

修正があった場合はこの段階で修正し、確認が完了すれば作成に関する作業は終了します。

 

5.  提出

作成し、医師・経営者の了承を得たレセプトデータは、審査支払機関に提出することで審査にかけられます。

提出期限は毎月10日であることから、医療機関は期間内に作成→確認→提出をしなければなりません。

 

おわりに

本記事では、レセプトデータとはどのようなものなのかについて解説しました。

レセプトデータとは、患者に対する診療や処方内容を記したデータ群になります。

患者や施設、傷病、薬剤など医療行為に関するさまざまなデータが記載されています。

レセプトデータを提出する際は、データ作成業務の効率化を図りつつ、差し戻しがないように必ず確認をしましょう。

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MRP医療コラム編集部

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