医療DX令和ビジョン2030とは?意義や方向性、3つの骨格を解説

2024.10.10医療経営

医療DX令和ビジョン2030とは

医療DXとは、デジタル技術を活用して医療業界全体の業務やサービスを根本的に変革し、質の高い医療提供や効率化を実現する取り組みを指します。

医療DXを通じた診療プロセスや病院の運営の高度化により、患者さんはより良質な医療やケアを受けられます。

また、医療DXは患者さんにより良質な医療やケアを提供するだけではなく、医療費削減や医療従事者の負担軽減のためにも必要です。

日本の医療分野におけるデジタル化の取り組みとして、自由民主党政務調査会が「医療DX令和ビジョン2030」を発表しました。

本記事では、医療DX令和ビジョン2030とはどのようなものなのかについて、意義や方向性、3つの骨格とあわせて解説します。

 

医療DX令和ビジョン2030とは?

医療DX令和ビジョン2030とは、2022年5月に自由民主党政務調査会が発表した取り組みを指します。

こちらが提言された背景の一つとして、コロナウィルスの影響による日本の医療制度の課題が浮き彫りになったことがあります。

ウィルスがまん延した当初、病院をはじめとした医療機関では感染に関する情報を電話やFAXといった、非効率な方法で取得していました。

また、日本の深刻な社会課題である「2040年問題」に対応するためには、医療業務の効率改善と負担軽減が急務です。

これらの課題を解決するために、医療DX令和ビジョン2030では下記の取り組みを推進することが決まりました(詳細は後述)。

  • 「全国医療情報プラットフォーム」の創設
  • 電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)
  • 診療報酬改定DX

 

また、患者さんが自分自身の診療情報を確認できるようになることも、医療DX令和ビジョン2030の目標に含まれます。

 

医療DXの方向性

医療DXの方向性

こちらでは、医療DXの背景と方向性、骨格をご説明します。

 

背景

医療DXが推進される背景の一つには少子高齢化や、感染症や流行病がまん延した際の情報共有の非効率さがあります。

医療情報がデジタル化されることによって、医療機関の業務効率化が進み、感染症危機が到来した場合でも迅速に対応できるようになります。

 

方向性

医療DXが実現すると、国民は、自分自身の保険・医療情報にアクセスができるようになるなどのメリットを得られます。

医療機関は、国民の保険・医療情報をもとに創薬や治療法の開発ができるようになるほか、SE人材の有効活用もできるようになります。

 

骨格

医療DXの根幹となる要素は「全国医療情報プラットフォーム」の創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXです。

これらを通じて得られた情報は、クラウドを通じて関係者間で共有され、先述の新薬開発や業務効率化に活用できます。

 

次の項より、医療DXの骨格に含まれる3つの要素について解説します。

 

取り組み1:全国医療情報プラットフォーム

全国医療情報プラットフォームとは、医療機関や自治体ごとに管理されている情報を共有するためのプラットフォームを指します。

こちらのプラットフォームを拡充することで、医療従事者はレセプトや特定健康情報、予防接種、電子処方箋情報などを参照できるようになります。

また、医療従事者に加えて、患者さん本人もプラットフォームを利用することができます。

より良い医療を提供することと、患者さん自らが予防・健康づくりを促進することが期待されます。

 

取り組み2:電子カルテ情報の標準化

電子カルテ情報の標準化とは、Webサービス技術を用いて厚生労働省が定める交換手順に統一化していくものです。

厚生労働省が令和4年3月に、下記の3文書6情報を標準規格として採択しました。

  • 3文書:診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書
  • 6情報:傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報

 

また、これらの企画に則った、「標準型電子カルテ」の開発を検討しています。

 

取り組み3:診療報酬改定DX

診療報酬改定DX

診療報酬改定DXは、診療報酬システムの更新をデジタル化し、医療機関やシステムベンダーの負担を軽減する取り組みです。

医療機関やシステムベンダーの負担を軽減するために、各ベンダーが「共通算定モジュール」を作成します。

診療報酬改定が行われた際、従来は手作業で変更を行っており、非常に効率が悪く手間がかかっていましたが、この非効率が解消されます。

また、自動化によってヒューマンエラーの発生を防ぐことができる点もメリットです。

 

医療機関向けにMRPが提供する価値

当社では病院経営のなかでも、医療材料比率の低減に特化したコンサルティングサービスを提供しています。

コンサルティングサービスは契約交渉支援やデータサポート、購入価格ベンチマークなど多岐にわたります。

医療材料費は病院経営の赤字・黒字に大きな影響を及ぼす要素であることから、改善することで増益が期待できます。

医療材料費や医薬品費の観点から経営を改善したい方は、お気軽にご相談ください。

 

当社サービスページはこちら

(https://www.mrp-spd.co.jp/home/service/consulting.html)

 

おわりに

本記事では、医療DX令和ビジョン2030とはどのようなものなのかについて解説しました。

医療DX令和ビジョン2030とは、2022年5月に自由民主党政務調査会が発表した取り組みを指します。

下記の取り組みを実施することで実現を図っており、これらが実装されることで質が高い医療と業務効率の改善が期待できます。

  • 「全国医療情報プラットフォーム」の創設
  • 電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)
  • 診療報酬改定DX

 

現場の負担やミスを減らせるように、医療DXを推進してみましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。