電子帳簿保存法の施行による医療機関へ及ぼす影響と対応方法について

2024.10.08医療経営

電子帳簿保存法

医療機関では診察時に使用する物品や事務用品などを購入に関しても、収益である診療報酬などと併せて収支を管理する必要があります。

帳簿に関する法律として、2024年1月1日に、「電子帳簿保存法」の改正が施行されました。

本記事では、電子帳簿保存法の施行により医療機関へ及ぼす影響と対応方法について解説します。

 

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、取引の際に発生した金銭の収支を電子データ形式で保存することを認める法律です。

対象となるものは購入した物品をはじめとして、各種媒体に配信した広告やホームページの制作なども含まれます。

また、業者とやり取りをしたメールも電子帳簿保存法の対象となるため、法律に則った方法で管理・保存が必要です。

電子データは紙媒体と比べて必要な情報を引き出しやすく、劣化が進行しにくいため、その点が考慮されたと考えられます。

 

電子帳簿保存法の3つの種類

電子帳簿保存法の3つの種類

電子帳簿保存法には、「電子帳簿保存」、「スキャナ保存」、「電子取引」の3種類があります。

こちらでは、それぞれについて解説します。

 

電子帳簿保存

電子帳簿保存とは、電子データで作成した帳簿や書類をそのまま電子データとして保存することを指します。

表計算ツールで作成した貸借対照表や、システムで作成した請求書などが対象となります。

 

スキャナ保存

スキャナ保存は、紙媒体で作成した書類をスキャナで取り込み、電子データとして保存する方法です。

また、スキャナだけではなくスマートフォンで撮影した写真もこちらのスキャナ保存に含まれます。

 

電子取引

近年ではインターネットが普及したことにより、電子メールやチャットツールなどで素早いやり取りが実現しています。

電子取引に含まれるデータには、電子メールやチャットツールで行われた請求書などの取引関連書類が含まれます。

 

電子帳簿保存法の「電子取引の保存要件」とは

電子帳簿保存法では、電子取引の保存要件と呼ばれるものが義務付けられています。

保存要件とは、電子データで受け取った取引情報は、紙媒体ではなく電子データで保存しなければならないことを指します。

取引情報には下記の要素が含まれており、どのような取引が行われたのかを文面で表すものです。

  • 注文書
  • 契約書
  • 送り状
  • 領収書
  • 見積書

 

近年では物流やメーカーなどでは、EDI(電子データ交換)を用いた取引を行う企業が多くなりました。

EDIは受発注や見積もり、決済、入出荷といったさまざまな情報を電子データ上でやり取りを行います。

そのため、EDIのデータは電子取引の保存要件に該当する要素であるといえます。

 

医療機関における「電子取引」の対象となるデータ

医療機関においては、下記のデータが電子取引の対象となります。

 

帳簿

  • 仕訳日記帳
  • 現金出納帳
  • 固定資産台帳
  • 総勘定元帳 など

 

決算関係書類

  • 損益計算表
  • 貸借対照表 など

 

自社発行・受領分取引書類

  • 見積書
  • 請求書
  • 領収書
  • 契約書 など

 

電子データ取引

  • 見積書
  • 請求書
  • 領収書
  • 契約書 など

 

具体的には、下記のようなデータが電子取引の対象となります。

  • Eコマースで購入した際に付属している請求書・領収書
  • キャッシュレス決済やクレジットカードの利用明細
  • 仕入れ先とやり取りを行ったことを証明する購買データ

 

いずれも、「やり取りが行われた日付」、「取引金額」、「取引先」が明確である必要があります。

これらのデータはWebサイト上からダウンロードできるため、忘れずに保管しておきましょう。

 

電子帳簿保存法で医療機関が取るべき対応

電子帳簿保存法で医療機関の対応

電子帳簿保存法に対応せず、書類の改ざんや不正などに該当した場合、100万円以下の過料が科せられる可能性があります。

法令を遵守し、電子データを保存・管理するためには下記の対応が求められます。

 

電子取引データの保存・管理体制の整備

電子取引データはただ保存するだけではなく、保存したデータを必要なときに検索・表示できるようにする必要があります。

たとえば、データのファイル名に規則性を持って記載することで、必要なデータを探しやすくなるのです。

 

事務処理規定の作成

電子データの保存・管理に関する条件として、取引データが改ざんされていないことを証明しなければなりません。

事務処理の規定を設けることで、診療所の全スタッフが正しい状態で取引データを保存・管理することができます。

 

スタッフ全体への周知

スタッフのなかには、電子データの保存・管理に関する知識が乏しい方がいらっしゃいます。

共通認識を持ってもらうためには、マニュアルを作成したり院内で研修したりすることをおすすめします。

 

MAVIS

医療機関では患者さんに最適な医療を提供するために、さまざまな医療機器や事務用品を用意しておく必要があります。

電子データの対象となるもののひとつとして、購買データの管理が含まれています。

当社では医療材料の情報管理をはじめとして、お使いの電子カルテや医事会計システムなどと連携できるMAVIS医療材料マスタ「Worth」を提供しています。

当該マスタにより加算情報も確認できるため、請求漏れを防げるほか、詳細な分類情報により共同購入や共同交渉にも活用しやすくなります。

ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

 

当社サービスページ:MAVISマスタ「Worth」

(https://mavisone.jp/worth.html)

 

おわりに

本記事では、2024年1月に改訂された電子帳簿保存法について解説しました。

電子帳簿保存法は取引の際に発生した金銭の収支を、電子データ形式で保存することを認める法律です。

電子帳簿保存やスキャナ保存、電子取引といったものが対象となり、電子データとして保存・管理する必要があります。

法に則り、必要なデータをすぐに見つけられるように最適な状態でデータを保存・管理しましょう。

 

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。