病診連携とは?仕組みからメリット・デメリットまで解説

2024.10.07医療経営

病診連携とは

近年の医療業界では業務効率の改善が課題とされており、解決策としてDX化の推進や地域連携などを掲げています。

地域連携で情報を共有し合ったり患者さんを紹介したりする医療機関には、病院や診療所が含まれます。

病院と診療所が連携することを「病診連携」と呼びますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

本記事では、病診連携について、仕組みからメリット・デメリットなどについて解説します。

 

病診連携とは

病診連携とは、病院と診療所が連携して、お互いに患者さんを紹介し合う仕組みを指します。

診療所は地域密着型で患者さんに寄り添った診療ができる一方、十分な設備が用意されていないことがあります。

自院で治療ができないと判断したときに、設備がそろっている病院に患者さんを紹介することで、治療を試みます。

一方、病院から診療所に患者さんを紹介するパターンとしては、下記のようなものが挙げられます。

  • 治療や検査など、経過観察を行う
  • 通院治療が対応できるようになったとき

 

病診連携を行うためには施設間のコミュニケーションだけではなく、患者さん情報のスムーズなやり取りが必要です。

データのやり取りには専門知識が求められるため、病院によってはシステム室や病診連携の担当者が在籍していることがあります。

 

病診連携のメリット

病診連携のメリット

こちらでは、病診連携で得られるメリットを、患者さんと病院の観点からご紹介します。

 

患者さんのメリット

病診連携を行うことによって、患者さんは下記のようなメリットを得ることができます。

  • 最適な治療・医療サービスを受けることができる
  • 医療機関同士の信頼関係に安心感を得られる
  • 待ち時間が短縮される

 

一見すると、病院と診療所は患者さんを取り合うような、ビジネスでいうところの競合として見られがちです。

しかし、病診連携では競合ではなく、お互いを支え合うパートナーの関係性になります。

患者さんの観点では構築された信頼関係に安心感を得ることができるほか、最適なサービスを受けることができます。

また、診療所の紹介であることから、予約もしてくれるため待ち時間が短縮できる点もメリットといえます。

 

病院のメリット

本来、病院とは急患や容態が悪化した患者さんに対して、最適な治療を行うことが目的の医療施設になります。

しかし、患者さんのなかには「困ったときは診療所より病院」と考える方がいらっしゃるものです。

多くの患者さんが来院した結果、病院での治療が必要な方を治療することができなくなり、本来の役割を果たせなくなります。

病診連携を行うことで、最適な治療を行える診療所を紹介できるため、患者さんの数を調整することができるのです。

患者さんの数を調整することにより、病院は急患や容態が良くない患者さんに対して治療や診療を行うことができます。

また、診療所から紹介を受ける際、紹介状を受け取るため、病院側は情報を共有された状態で治療が行えます。

患者さんからすると同じ説明を何度もせずに済むことから、病院側は利便性が高いといった評価を得ることができます。

 

病診連携のデメリット

一方、病診連携を行う際には、それぞれの施設でスムーズな連携を行うためのシステムを導入しなければならない点がデメリットとなります。

比較的多くの資本を所有している病院であれば、最新のものや最新に近いシステムが導入されています。

しかし、診療所では資本が限られていることから、システムの導入が遅れている可能性が考えられます。

システムが整備されていなかった場合、口頭ベースや紙媒体での照会になるため、双方にムダな作業時間が発生します。

また、システムを運営するためには専門的な知識が求められますが、診療所は限られた少数のスタッフで運営しています。

そのため、システム担当や病診連携専門のスタッフを雇用することはほとんどありません。

患者さんを紹介する診療所の悩みとしては、紹介先の病院がどのような機能を有しているのかを知っておく必要があります。

せっかく紹介しても治療に必要な機能が備わっていなかった場合、患者さんはたらい回しにされて満足度が下がってしまうものです。

なかには生命に関わる、急を要するような治療が必要な患者さんがいらっしゃるため、スムーズな連携は必要不可欠です。

 

病診連携のこれから

病診連携のこれから

病診連携は国を挙げての政策であることから、今後連携できる診療所や病院が増えることが考えられます。

ネットワークによって医療機関同士が連携できれば、患者さんはスムーズに最適な治療を受けることができます。

また、医療ネットワークが広がることによって、地域包括ケアシステムにも対応できるようになることが期待されています。

とはいえ、現状では人員不足や病診連携室を設置できないといった、さまざまな課題が残っています。

これらをクリアすることで、病診連携は活発になり、多くの医療機関や患者さんが利用できるようになるでしょう。

 

おわりに

本記事では、病診連携とはどのようなものなのかについてご説明しました。

病診連携は病院と診療所が、患者さんの診療情報などを連携することで最適な治療を受けられるようにするものです。

患者さんは最適な治療を受けられる、医療機関同士の信頼関係に安心感を得られる、待ち時間が短縮されるといったメリットを得られます。

患者さんの容態回復や満足度向上のため、病診連携に関する理解を深めておきましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。