診療報酬の請求ミスや算定漏れを防ぐ方法|要因と改善策を解説
2024.05.30医療経営病院や診療所では、患者さんから診察代を受け取るほか、審査支払機関を通して保険者に診療報酬を請求することで収入を得ます。
審査支払機関ではあらかじめ決められている診察ごとの点数を参照して、正しい情報を記載しているのかを審査・判断します。
そのため、診療報酬の情報が間違えていた場合、やり直しを命じられたり支払ってもらえなかったりするリスクがあるのです。
本記事では、診療報酬の請求ミスや算定漏れを防ぐ方法について、要因や改善策とあわせて解説します。
医事請求・算定漏れが起こる要因とは?
結論として、医事請求・算定漏れが起こる要因はヒューマンエラーであることがほとんどです。
病院をはじめとする医療機関は、下記のように患者さんに関するさまざまな情報を管理しなければなりません。
- カルテに記載している診療情報
- 診療情報をもとにした診療報酬の情報
- 診療情報から保険者への請求情報
ほとんどの場合、これらは電子化がされており、各システムを連携することで効率良く入力することができます。
しかし、診療情報が誤っていたり、登録しているマスタ情報に誤りがあったりする場合は間違いとなります。
特に、患者さんの診療情報をカルテに記載するときにヒューマンエラーやミスが発生しやすい傾向にあるのです。
また、診療情報の入力は正確に行われていても、そもそも登録されているマスタ情報に誤りがある場合は間違った情報で請求してしまうケースもあります。
そのため、医事請求・算定漏れを防ぐためには後述する仕組み化が重要となります。
医事請求・算定漏れを防ぐための改善策とポイント
こちらでは、医事請求・算定漏れを防ぐための改善策とポイントをご紹介します。
対策①|業務フローの構築
業務フローとは、業務の流れをフロー図で表したものであり、業務全体を可視化するための目的で使われます。
業務効率が改善しない、ヒューマンエラーが多く発生する原因のひとつとして、業務の可視化ができていないことが含まれています。
次に何をすれば良いのか、何に注意して業務に臨まなければならないのかなどが分からない場合、ミスが発生しやすくなります。
これは医療機関だけではなく企業にもいえることであり、業務フローの構築は収益を大きく左右する要素です。
医療機関においては業務フローやマニュアルを作成することで、誰でも高品質の業務を行うことができるようになります。
特に、ヒューマンエラーやミスが発生しやすい業務から業務フローやマニュアルを作成することで、業務の質を向上させられます。
なお、業務フローやマニュアルは作成して終わりではなく、改善を繰り返すことで品質を高めることができます。
対策②|人材育成
医療機関には医師や事務員などさまざまなスタッフが在籍しており、当然ながらそれぞれで業務内容が異なります。
また、新人やベテランなど、スタッフごとに能力が異なるため、業務の進行にも影響を与えてしまいます。
医事請求・算定漏れを防ぐためには、スタッフによる能力のばらつきを抑えるために人材育成を行いましょう。
人材育成の方法にはOJTや先輩からの指導だけではなく、勉強会やセミナーの参加などが挙げられます。
長所を伸ばし、短所を改善することでスタッフ全体の業務の質を向上させることができます。
人材育成の際には、教育係の方は対象となるスタッフの得意・不得意な業務や性格などを理解しておくことが重要です。
苦手なことばかりをやらせてしまうと、スタッフにストレスが蓄積されて業務の質が下がってしまうことがあります。
そのため、苦手の克服方法や指導方法などを見直して、気持ちよく業務に臨めるようにしましょう。
改善後の運用体制に欠かせないこと
先述の通り、改善後の運用体制には業務フローやマニュアル作成は欠かすことができません。
業務フローやマニュアルがあることで、担当者が休職・退職をしてもほかのスタッフがスムーズに業務を行うことができます。
また、人材育成には多額の費用が求められますが、業務フローやマニュアルを用意することで育成コストを抑えられます。
注意点として、マニュアルは1度作成したら完了ではなく、アップデートが必要になります。
ほとんどのスタッフが分かっても一部のスタッフには理解できなかったり、時流によって作業の見直しが求められたりするためです。
業務フローやマニュアル作成の際には多くの時間を要しますが、その分作業効率が改善するため、作成することをおすすめします。
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多くの病院では、使用したものの整合性を取ったり、月間の消費量を確認したりするのに時間がかかっています。
ヒューマンエラーが発生しやすい点も、多くの時間を要してしまう原因といえるでしょう。
短時間で高精度な分析や整合を行うことで、スタッフの負担を減らすことができます。
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おわりに
本記事では、診療報酬の請求ミスや算定漏れを防ぐ方法について、要因と改善策を解説しました。
ほとんどの場合、診療報酬の請求ミスや算定漏れはヒューマンエラーや記載ミスなどが要因となります。
対策として、業務フローの構築や人材育成、正確なマスタ管理などが挙げられます。
運用改善のためには業務フローやマニュアルを作成することが重要で、更新を繰り返して誰でもわかりやすいものを作成しましょう。
マスタ管理についても、お困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。
質が高い業務を各スタッフで行えるように、マニュアルや物品マスタなどを整備しておくことをおすすめします。
MRP医療コラム編集部
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