AI創薬とは?注目される背景や課題、メリット・デメリットを解説
2024.12.12医療経営近年、テレビや雑誌など、さまざまなメディアで「AI」という言葉を見るようになりました。
AI(Artificial Intelligence)は人工知能を指すもので、コンピューターサイエンスの分野に含まれます。
さまざまな産業でAIの導入が始まっており、医療業界においては医療の質向上、および業務改善が期待されています。
本記事では、AI創薬とはどのようなものなのかについて、注目される背景や課題、メリット・デメリットとあわせて解説します。
AI創薬とは?
AI創薬とは、AIを活用して高度なデータ分析や推論を行ったうえで創薬する手法です。
疾患の治療や予防、症状の緩和などを目的として、新しい医薬品を開発することを目的として、製薬会社では常に創薬が行われています。
多くの時間と作業量を要する創薬は必要となる原材料や研究員の負担が大きい一方、市場の競争に勝つために必要不可欠です。
AI創薬を導入することによって、開発期間の短縮やコスト削減のほか、研究員の業務負担の軽減などが期待されています。
たとえば、ビッグデータなどの分析は、人では膨大な時間を要しますが、AIではごく短時間で処理を行うことができます。
AI創薬が注目される背景
AI創薬は、下記の理由により近年注目されるようになりました。
市場のニーズに対してスピーディに対応ができる
創薬の目的は、流行病や長年治療できなかった病気の治療・症状緩和を実現できる薬の開発です。
しかし、創薬の際にはさまざまな情報を分析しなければならず、そのためには多くの時間とデータ、作業量を要します。
AIを使用して創薬することで、短時間で膨大なデータを分析・処理できるため、開発から流通までのリードタイムを短縮できます。
自動化による業務負担軽減
一般的な創薬では、研究員自身がデータを分析して推論を立て、実験を繰り返して製品化していきます。
AIを導入して画像解析や薬効の安全性評価、論文の検索などを代行させることで、研究員の業務負担軽減が期待できます。
人にしかできないこととAIに任せられることを分担することで、従業員の業務負担を軽減できるでしょう。
AI創薬のメリット
AI創薬には、下記のようなメリットが含まれています。
- 膨大なデータを短時間で解析・処理ができる
- 創薬の成功率向上
- 確実性の向上が期待できる
- 人では気付かなかった問題や仮説を立案できる
要約すると、これまで多くの時間と作業量を要していた創薬が、短時間かつコスト削減を実現できる、ということになります。
創薬の負担が減って開発スピードが向上すると、市場に流通するまでのリードタイムが短縮するため、短期間での収益化が可能です。
競合他社よりも早く販売することで競争優位に立ちやすくなるため、創薬には欠かせないものとなるでしょう。
AI創薬のデメリット
一方、AI創薬には下記のようなデメリットが含まれています。
- 精度が高い分析には膨大なデータが必要となる
- 創薬とAIの両方に関する知識が必要
- AI自体、現在発展途上の技術である
- プライバシーの保護
AIは高度な分析を短時間で行えますが、精度が高い分析のためには膨大な情報が必要になります。
また、データのフォーマットが統一されていなかった場合、分析に時間がかかったり、正確性が欠けていたりする可能性が生じます。
AI自体が現在発展途上にある技術であることから、まだ信頼できない、という人も少なくありません。
上記より、AIを活用するためにはデータ収集などの下準備のほか、活用に際して過信しないことが重要といえます。
製薬業界を取り巻く課題
製薬業界では、下記を課題としている企業が多いです。
- 創薬自体、難易度が高い業務である
- 創薬時の開発期間と費用が年々増大している
- 遺伝子上の発見など、困難な作業が多い
- 人材育成
- 情報収集
これらは長年多くの製薬会社が頭を抱えている課題であり、さまざまな方法で改善を検討しています。
AI創薬はこれらの課題を解決できる有効な手段になりうることから、近年注目されるようになりました。
AI創薬で製薬業界はどう変わる?
AI創薬を活用することで、下記の点が変わると考えられます。
- 複数のAIで新薬開発
- 政府の支援・バックアップ
- コスト大幅圧縮
政府は画期的な医薬品の開発にかかる時間やコストを圧縮するため、複数の人工知能(AI)を統合した「創薬AIプラットフォーム」の整備を支援します。
大学や企業と連携して集めた膨大な学習データにAIを組み合わせ、創薬の成功率の向上につなげているのです。
国際市場において新薬は競争優位に立つための重要な商品であり、短期間での製造・開発が課題となります。
短期間で高い効能を得られる新薬を国際市場に流通させることで、日本の製薬業界の競争力が高くなるのです。
おわりに
本記事では、AI創薬とはどのようなものなのかについて解説しました。
AI創薬とは、AIを活用して高度なデータ分析や推論を行ったうえで創薬する手法です。
市場のニーズに対してスピーディに対応ができ、自動化による業務負担軽減が期待できるため、近年注目されています。
膨大なデータを短時間で分析・処理することができ、創薬の成功率向上、確実性の向上が期待できるほか、人では気付かなかった問題や仮説を立案できる点がメリットです。
国内外問わず、ビジネスの競争力を高めるために、今後AI技術は不可欠となるでしょう。
MRP医療コラム編集部
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