【医療機関向け】経営を効率化するオンライン診療の処方箋の取り扱い

2024.12.19医療経営

オンライン診療の処方箋

医療機関では診察や手術だけではなく、さまざまな業務が発生するため、常に業務の改善が求められます。

近年ではインターネットやデバイスの技術が進歩しているため、オンライン診療を採用する医療機関が多くなりました。

では、これからオンライン診療、および処方箋を導入しようとした場合、何をしなければならないのでしょうか。

本記事では、経営を効率化するオンライン診療の処方箋の取り扱いについて解説します。

 

オンライン診療における処方箋の取り扱い

オンライン診療における処方箋の取り扱いについては、厚生労働省が規定を定めています。

下記にて、厚生労働省が発表している内容について解説します。

 

医療機関における処方箋の取り扱いについて

患者がオンラインによる服薬指導を希望した場合、処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載する必要があります。

送付方法についてはFAXやメールなどであり、医師は診療録に送付先の薬局名を記載します。

また、送付する処方箋はコピーではなく、処方箋の原本になります。

オンラインから対面のオフラインに切り替えたい患者に対しても、本取り扱いが可能です。

 

薬局における処方箋の取り扱いについて

薬局では医療機関から送られてきた処方箋の情報(原本)を、下記の法律に則り調剤などを行います。

 

薬局は医療機関から受け取った処方箋原本を、保管しておく必要があります。

 

令和4年9月の改定について

「オンライン服薬指導における処方箋の取り扱いについて」は令和2年9月に解禁されましたが、令和4年9月に改定されました。

改定の対象となったのは「医療機関における処方箋の取り扱いについて」であり、以前はオンライン・オフラインの切り替えができませんでした。

改定後は患者の利便性向上が目的と考えられ、改定後はオンライン・オフラインの切り替えができるようになっています。

なお、「薬局における処方箋の取り扱いについて」については改定がされていません。

 

オンライン診療における処方から受け取りまでの流れ

オンライン診療の処方から受け取り

こちらでは、オンライン診療における処方から受け取りまでの流れを院外・院内それぞれでご紹介します。

 

院外処方の場合

院外処方とは、診療を実施した医療機関が薬局に調剤を依頼する方法で、下記の流れで進行します。

  1. オンライン診療を行っている医療機関を確認する
  2. オンライン診療を予約する
  3. オンライン診療を受ける
  4. 医療機関が処方箋情報を発行、薬局に送付する
  5. 薬局が患者に服薬指導を行う
  6. 患者が薬を受け取る

 

患者は薬局で受け取るか、自宅に郵送してもらうかを選択できます。

薬局が処方箋に基づいて調剤することから、医療機関は調剤用のスペースを確保する必要がありません。

また、在庫リスクや薬剤師の雇用にかかる費用などを削減できる点もメリットといえます。

 

院内処方の場合

院内処方とは、診療から調剤、薬の受け渡しまですべての作業を病院内で実施する方法であり、下記の流れで進行します。

  1. オンライン診療を行っている医療機関を確認する
  2. オンライン診療を予約する
  3. オンライン診療を受ける
  4. 医療機関が処方箋情報を発行、調剤する
  5. 医療機関が患者に服薬指導を行う
  6. 患者が薬を受け取る

 

院内処方はすべての作業を院内で完結するため、患者は移動の手間を削減できます。

また、情報のやり取りについては院内ネットワークを利用することから、スムーズな連携が可能です。

院内処方は院外処方と比較すると、診療点数が低いため、患者の目線から考えると負担費用が少なくなる点はメリットといえます。

 

オンライン診療での処方箋発行時の注意すべき点

オンライン診療での処方箋発行

オンライン診療で処方箋を発行する際は、厚生労働省が発行している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に則る必要があります。

こちらの指針には、下記のようにオンライン診療におけるさまざまな情報が記載されています。

  • 医師-患者関係と守秘義務
  • 医師の責任
  • 医療の質の確認および患者安全の確保 など

 

特に、下記については最低限の遵守が求められます。

  • 麻薬および向精神薬の処方
  • 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品の処方
  • 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方
    また、重篤な副作用が発現するおそれのある医薬品の処方は特に慎重に行うとともに、処方後の患者の服薬状況

 

オンライン・オフライン問わず、患者に対して質の高い医療を提供するために、これらのルールが設けられているのです。

 

おわりに

本記事では、オンライン診療の処方箋の取り扱いについて解説しました。

オンライン診療における処方箋の取り扱いについては、厚生労働省が下記の要項を定めています。

  • 医療機関における処方箋の取り扱いについて
  • 薬局における処方箋の取り扱いについて

 

業務改善および医療の質を向上・担保するために、守秘義務や医師の責任などについての理解が必要です。

これからオンライン診療に対応しようと検討している医療機関の方々は、事前に厚生労働省のページを確認しておきましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。