【要点整理】令和8年度診療報酬改定ポイントまとめ

2026.03.02医療経営

令和8年度診療報酬改定ポイント

令和8年度(2026年度)の診療報酬改定は、医療機関を取り巻く厳しい環境変化に対応するため、大きな転換点が設けられています。

物価高騰や慢性的な人手不足という課題に対し、今回の改定はどのような方向性を示しているのでしょうか。

本記事では、経営層が押さえておくべきスケジュールや背景、そして「物価対応分」や「ベースアップ評価料」など収益に直結する5つの重要ポイントを徹底解説します。

また、改定に向けて今から取り組むべき具体的な準備・対策についても紹介します。

 

令和8年度(2026年度)診療報酬改定の施行スケジュールと背景

前回の2024年度改定で、現場の人的負担軽減を目的に導入された「6月施行」のスケジュールが今回も踏襲されます。

具体的には「診療報酬本体」と「医療材料(特定保険医療材料)」は6月1日施行となりますが、「薬価」については市場価格への迅速な連動や流通の安定を図るため、従来通り4月1日施行となります。

この施行時期の「ズレ」は、院内システムの改修や人員体制整備のスケジュールに直接影響するため、事前の正確な把握とマネジメントが必要です。

また、今回の改定の背景には、「物価高・賃金上昇」「人手不足」、そして2040年を見据えた「高齢化」という3つの重い課題があります。光熱水費等の長引く高騰に対応しつつ、他産業に負けない水準の賃上げで医療人材を確保し、効率的かつ持続可能な医療提供体制を再構築することが、国としても最大のテーマとなっています。

 

【令和8年度改定】5つの重要ポイントを徹底解説

令和6年度(2024年度)との違い

今回の改定では、経済動向に応じて令和9年度に段階的な追加調整が行われる2段階評価の仕組みが取り入れられています。これは、持続可能な医療提供体制の構築を見据えた制度設計といえます。医療機関の経営に影響を与える5つのポイントを深掘りします。

 

診療報酬本体のプラス改定

令和8・9年度の診療報酬本体の改定率は「プラス3.09%」(2年度平均)と30年ぶりの高水準となっています。なお、令和9年度については経済動向を踏まえた追加改定が予定されており、具体的な改定率は今後公表される予定です。このプラス改定は、厳しい経営状況にある医療現場を支援する狙いがあります。内訳をみると、医療従事者の賃上げ対応分として「1.70%」、光熱水費等の物価対応分として「0.76%」が配分されています。さらに、近年の経営環境悪化への緊急対応分なども含まれ、手厚い支援体制が敷かれています。

 

物価対応の新たな評価(物価対応分)

光熱水費や医療材料費の高騰に対応するため、物価対応分(0.76%)が特別項目として措置されることが答申されています。

物価対応分については、令和8年度と令和9年度で点数が変動する2段階評価の仕組みが今回の改定で取り入れられています。正式な点数や制度設計の詳細は、告示・通知等で公表されます。

 

ベースアップ評価料の拡充と賃上げ実施の評価強化

医療従事者の人材確保を目的とした「ベースアップ評価料」は前回の改定で創設されましたが、令和8年度改定ではその継続・拡充が図られています。
あわせて、賃上げの実施状況を点数評価に反映させる仕組みも導入され、賃上げを実施していない医療機関については入院料で減算となる規定が新設されました。

 

入院基本料における急性期機能の実績評価強化

入院医療において、急性期機能の実績に応じた評価を強化する方向で議論が進められています。

これまで主流だった「看護配置(7対1など)」を中心とした人材基準の評価から、救急搬送の受け入れ実績や手術件数といった「機能・実績」をより重視する体系への見直しが検討課題となっています。これにより、高度な急性期機能を持つ病院など、医療機能のさらなる明確化と分化が推進される可能性があります。

 

医療DX・在宅医療の推進と「かかりつけ医機能」

安心・安全な医療の提供に向け、医療DXと在宅医療への評価の方向性も議論が進められています。

医療DXについては、単なるシステム導入にとどまらず、「サイバーセキュリティ対策」を要件とした情報連携機能の強化などが検討されています。

在宅医療・かかりつけ医機能の領域では、災害時等に備えたBCP(業務継続計画)の策定など、2040年を見据えた地域の包括的な患者サポート体制の整備がより一層推進される見通しです。

 

参考ページ:厚生労働省ホームページ「診療報酬改定について 」

医療機関経営者が今から取り組むべき準備・対策

医療機関経営への影響

これらの極めて大きな変化を乗り越え、持続可能な経営を実現するために、医療機関は今から以下の3点に取り組む必要があります。

 

自院の経営状況や人員配置の正確な把握

第一歩として、自院のコスト構造や職員の給与水準、タスク・シフト/シェア(医師から他職種への業務移管・共同実施)などの人員体制を正確に可視化することが不可欠です。賃上げ減算の対象にならないか、ベースアップ評価料を最大化できるか等、まず現状分析に早急に着手することが求められます。

 

医療DXや外部支援を活用した業務効率化・コスト削減の推進

限られた人員で収益を維持・向上させるためには、電子カルテの標準化をはじめとするICT活用による抜本的な効率化が必須です。また、レセプト点検や請求業務のアウトソーシング(外部委託)を効果的に活用し、コスト削減と事務部門の負担軽減を図ることも有効な選択肢です。

 

今後の協議プロセスと最新情報の継続的なキャッチアップ

診療報酬改定の詳細な要件は、今後段階的に固まっていきます。改定内容が正式に告示される前に、引き続き公開される議論状況や個別改定項目を追いかけ、院内体制の整備を前倒しで進める体制を整えることが重要です。

 

おわりに

令和8年度(2026年度)の診療報酬改定は、2年度平均で+3.09%という近年では比較的大きなプラス改定であると同時に、「実績に基づく評価」と「医療機関の機能分化」を強く推し進める歴史的な転換点です。

物価対応分などの措置を適切に活用しつつ、適切な賃上げマネジメントや急性期機能の要件クリアなど、経営手腕が直接的に問われる内容となっています。改定の動向を正確に捉え、早期かつ計画的な対策を講じることが、今後の安定的な医療経営を左右する重要な取り組みとなります。

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タグ : 医療DX 診療報酬
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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。