病院経営が赤字になるのはなぜ?赤字要因と黒字化させる対策を解説!
2023.11.17医療経営病院では、日々多くの患者さんが訪れ、医師や看護師は診療や事務作業などに追われています。
患者さんの容態の回復や症状の緩和などが目的であることから、社会貢献度がとても高い職業だと言えます。
しかし、病院は社会貢献の施設であると同時に、一般企業と同じく利益を出さなければその存続が危ぶまれるため、黒字で安定した経営が求められます。
病院の経営が赤字になる要因には、何が含まれているのでしょうか。
本記事では、病院経営が赤字になる原因と、黒字化させる対策について解説します。
病院経営が赤字になる要因とは?
昨今の病院経営が赤字になる主な要因には、下記のように「コロナ禍の影響」と「人件費の増加」が挙げられます。
コロナ禍の影響
2019年12月頃より、コロナウィルスが世界中に拡大し、さまざまな産業に大きな打撃を与えました。
病院も例外ではなく、収益が増加すると思われましたが実際は経営が大きくマイナスとなる施設がほとんどでした。
コロナウィルスの感染力や症状の重さなどから入院する患者さんが増加しましたが、あまりにも患者さんの数が多くなってしまいました。
そのため、病院は一時的に患者さんの受け入れを拒否せざるを得ない状況となり、診療が行えなくなったのです。
診料は患者さんの診察や処置等によって診療報酬を申請することで受け取ることができる、病院にとって重要な収入源です。
感染拡大を防止する目的で患者さんの受け入れを断った結果、収入源が断たれてしまって経営を圧迫することもあるでしょう。
人件費の増加
医師や看護師など医療従事者は、現在深刻な人材不足に陥っています。
一つの理由としては勤務内容と報酬のバランスにあり、激務であるにも関わらずそれに見合ったお給料を受け取れないことも挙げられます。
医師や看護師は人命にかかわる重要な業務を行うため、高い集中力が求められるものです。
しかし、人材不足によって十分な休息を取ることができなくなってしまい、現存の従業員で補填しなければならいないような状況もあるでしょう。
新たな人材を募集する際も求人サイトへの掲載など、採用にはさまざまなコストが発生します。
医療従事者になってもあまり稼げない状態になり、人材不足なので医療従事者が欲しいと考えるようになっても、稼げていないから雇用ができないといった負の連鎖から、経営を圧迫する要因となっています。
病院経営を黒字化させる対策
こちらでは、病院経営を黒字化させる対策をご紹介します。
現状把握|コストの実態を知り、業務を効率化
まずは、病院全体で発生しているコストを確認します。
下記、病院で発生するコストの一例です。
- 人件費
- 医薬品・診療材料費
- 外注委託費
- 広告費
- 研究開発費
- 教育費
- ランニングコスト
- 減価償却費
これらのなかには、ムダに使ってしまっているものもあるかもしれません。
たとえば、ランニングコストのなかに含まれる光熱費は、削減できるコストのひとつと言えます。
使っていない機器の電源を切る、院内全体をLEDに変えるなどは、すぐに取り組めるコスト削減です。
黒字化を始める際は、まず病院全体の現状を確認するようにしましょう。
経営戦略|適正な経費の算出を行い、医療ニーズに応える体制構築
経営戦略は病院だけではなく、企業などでも必要不可欠のものであり、経営の根幹に当たるものです。
戦略のなかには、下記のようなものが挙げられます。
- 紹介患者数の増加を重要評価指標として位置付け、多くの患者さんに来てもらう
- 高度専門医療に必要な医療機器を導入し、ほかの施設にはない診療を提供する
しかし、経営を続けているうちに業績が伸び悩む・赤字に転落してしまうことがあります。
そのような場合、経営戦略を見直してみましょう。
赤字になった原因を突き止めることによって、黒字化するための対策を練ることができます。
組織体制|組織マネジメントを見直し、院内の生産性向上
マネジメントとは、経営戦略や経営方針に基づいて従業員が行動するように管理を行うことです。
病院には医師や看護師だけではなく、調理師や薬剤師が在籍しているところもあります。
役職や業務内容が異なる方でも、病院としての目標は患者さんの回復であると言えます。
患者さんを回復させるためには、異なる役職や業務のスタッフ同士が連携し、責任感をもって業務に臨む必要があります。
適切なマネジメントを行うことで、病院全体の業務効率を改善することができるため、黒字化に近づくことができるでしょう。
今後、病院経営に求められることとは?
先述の通り、病院には赤字に陥ってしまうさまざまな要因があります。
また、黒字化に成功しても、下記のように解決するべきさまざまな課題が含まれているものです。
- 離職率の低減
- コストの最適化
- ITツールを活用した業務のDX化
病院に限らず、従業員を雇用したあとは教育・指導を行いますが、その際には教育コストが発生します。
長く勤務してもらうことで教育コストを掛けなくて済むため、離職率の低減は重要な課題です。
また、仕入れ先の変更や他施設とのベンチマーク比較など、コストの最適化も重要課題のひとつだと言えます。
近年では業務効率の改善を目的として、ITツールを活用した業務のDX化が進められています。
これらを実施することで、赤字から脱却して、黒字経営を維持することができるでしょう。
おわりに
本記事では、病院が赤字になってしまう原因と、黒字化するための対策についてご説明しました。
病院はコロナ禍の影響や人件費の増加など、さまざまな要因で赤字経営に陥ります。
黒字化するためには、現状把握・経営戦略・組織体制の見直しを行います。
黒字になったあとも収益を増加させるため、離職率の低減・コストの最適化・ITツールを活用した業務のDX化を心がけましょう。
黒字化を実現するためには、まずは現状を把握して赤字の原因を洗い出すことが重要です。
MRP医療コラム編集部
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