【経営者必読】病院のコスト削減ガイド|実践的アイデアと成功事例

2024.10.10医療経営

病院のコスト削減ガイド

病院経営で収益を上げるためには、来院者数の増加によってベッド稼働率を上げることや、患者一人当たりの単価を上げることと、コスト削減が必要です。

来院者数は診療科目や立地など環境に依存する割合も高いので、コスト削減を優先する病院は多いことでしょう。

しかし、無理にコスト削減を実施すると、患者満足度や業務効率が低下する可能性があります。

本記事では、病院のコスト削減に関する実践的アイデアと成功事例をご紹介します。

 

病院のコスト構造

病院におけるコストの種類

病院におけるコストの種類には、下記が含まれています。

  • 人件費       :医師や看護師などスタッフに支払われる給与や賞与のほか、社会保険料や退職金、法定福利費などが含まれます。
  • 医薬・材料費 :医薬品やレントゲンフィルム、ガーゼなど医療行為に必要なものを購入する際に必要な費用です。
  • 委託費 :検査費や給食委託費、リネン委託費など、外部の業者に依頼する際の費用になります。
  • 減価償却費 :レントゲン機器や電子カルテなど、医療行為に必要な機器設備などの固定資産を耐用年数で算出した費用です。
  • その他経費 :テナントの賃料や広告費といった、上記のいずれにも属さない費用になります。

 

診療科目や病院の類型などによっても異なりますが、一般的なDPC対象病院としては下記のようなコスト割合になっており、人件費と材料費が大きな割合を占めています。

  • 人件費 :50%程度
  • 材料費 :20~30%程度
  • 経費 :5~15%程度
  • 委託費 :10%程度
  • 減価償却費 :5%程度

 

 

病院のコスト削減の基本原則

病院のコスト削減を検討する際の基本原則をご紹介します。

 

コスト削減の目的を明確にする

そもそもコスト削減の検討を開始するに至ったきっかけや、現状に対する課題感、病院経営上多少コストをかけてでも重視すべきと考えていること等を整理することで、何のコストをどの程度削減し、それによりどのような経営状態を目指すのか、コスト削減に取り組む指針を明文化します。これにより、やみくもに総花的なコスト削減を行うことによる現場の疲弊を防止し、関係者が前向きに取り組める環境を整備します。

 

プロジェクトをチームで実施する

コスト削減で失敗する原因の一つは、経営者一人で判断してしまうことで重要な情報を見落としたり、独断的に誤った判断を下したりすることです。

各部署を代表するメンバー10人程度でプロジェクトを立ち上げ、さまざまな意見を吸い上げることで効率良く改善ができます。

 

振り返りを実施する

コスト削減の施策を実行したあとは、やりっぱなしにするのではなく施策の成果を確認することが重要です。

A案は○○円削減できた、ではB案はどうだろう?といったように、常にPDCAサイクルを行うことが改善につながります。

 

外部機関を積極的に取り入れる

医師や先生方は診療に関するスペシャリストですが、必ずしも経営に精通しているというわけではありません。

外部のコンサルタントに経営の相談をしたり、自院の作業をアウトソーシングしたりすることで、改善できることがあります。

 

病院で実施できるコスト削減のアイデア

病院でできるコスト削減のアイデア

下記は、病院で実施できるコスト削減のアイデアの一例です。

 

医療材料の購買方法の適正化

医療機関全体で使用する材料の一括購入、取引先のサプライヤーの絞り込み、サプライヤーと長期契約等を通じて、仕入れ単価の交渉力を高めることも一案です。複数の病院や医療施設で情報連携をしたり、場合によっては共同購入を行ったりすることも効果的です。

医療材料の在庫管理

医療材料の期限切れによる廃棄や、在庫管理のミスを防止するため、仕入れや使用、廃棄といった医療材料の流れを記録したり、RFIDやバーコード技術等のデジタルツールを活用したりすることも効果的です。

 

設備管理の削減

病院内の設備には高額な保守費用を求められるものが存在します。

保守費用自体は必要経費ですが、価格交渉やプラン変更などによって保守費用を削減できることがあるため、交渉する価値は大いにあります。

 

その他固定費の削減

病院を経営していると、給与や賃料などさまざまなランニングコスト・固定費が発生します。

固定費を下げる方法には診療日時の調整や転院などが含まれますが、まずは価格交渉から始めてみましょう。

 

病院のコスト削減につながった成功事例

下記にて、病院のコスト削減につながった成功事例をご紹介します。

  • 最適な仕入れ価格での仕入れを行った結果、年間約1億4,000万円の削減に成功
  • 医療材料費の仕入れ交渉を行い、適正価格で仕入れられる業者に切り替えた結果、年間約2億3,000万円の削減に成功
  • 病院経営に協力的・非協力的な業者を把握し、業者の絞り込みを行ったことで年間約4,000万円の削減に成功

 

これらを見てみると、仕入れについては適正価格の把握と価格交渉が重要だということがお分かりいただけると思います。

当社では多くの病院に対して契約交渉支援などのサポートを行ってまいりました。

こちらのページにコンサルティング事例を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

 

本記事では、病院のコスト削減に関する実践的アイデアと成功事例をご紹介しました。

最適な方法でコストダウンを図り、健全な病院経営を実施しましょう。

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MRP医療コラム編集部

病院経営改善・コスト削減コンサルティングの株式会社エム・アール・ピーが発信する「MRP医療コラム」です。医療経営に関する様々なお役立ち情報を発信します。